2011年4月、学習院大学を卒業した23歳の男性が同時期に大学を卒業した仲間と創業した株式会社ソーシャルリクルーティング(代表取締役春日博文)。Facebookを就職活動に使用して、企業の採用担当者と学生のマッチングを促進するサービスを国内初展開するや、瞬く間に世間では「ソー活」(ソーシャルメディアを使った就職活動の略称)という言葉が広まった。ソー活の仕掛人である春日博文氏は「ビジネスで世界と戦う為に日本はいずれグローバルな採用をしなければいけなくなる。今の採用メディアは国内メディアが中心。世界のプラットホームであるFacebookを使うことはグローバルな採用と親和性が高い」と語る。——(聞き手オルタナS特派員池田真隆)

Facebookを利用した就活サイトJOBRING上での自己紹介ページ 写真提供:株式会社ソーシャルリクルーティング


——Facebookを使用した就職活動とFacebookを使わない既存の就職活動ではどう違いますか。魅力を教えてください。

春日:既存の就職活動には多々疑問を感じていました。一つは企業対学生という構図になっていて、企業が学生の属性などを中心に見て、その学生個人の中身を見ないことです。

また、二つ目はそもそも第三者の媒体に登録して就職活動をすることが不思議でした。しかも、登録するのは大学名や学部など属性だけです。はっきり言って企業が欲しがる個人情報のデータベース化を自ら手伝っているだけです。この二つが大きな疑問でした。

さらに、エントリーシートなどは大抵は数時間で書けます。しかし、それが自分自身を発信する媒体だとしたらあまりにも中身が薄いとも感じていました。一方Facebookを利用すればその学生の数年間ないしは最低でも数日間は記録されています。

なので、本来自分自身を表現することに適しているのは、数時間で書いた紙切れよりも、長年に掛けて蓄積した思い出が詰まっているFacebookの方ではないかと思います。Facebookを起点に発信すれば自分の生き方と働き方をマッチングしやすいのではないかと思いました。


そして、Facebookは世界の裏側同士に住む個と個をつなげることも出来るメディアです。今までの企業対個人の構図ではなく、採用担当者対学生という就職活動の場においても本来あるべき個人対個人の関係が生まれます。さらに、事前にお互いがFacebook上でやり取りすることによってコミュニケーションの促進になり、面接本番ではより深いことまで聞き出すことが可能です。

———しかし、Facebookでの就職活動はそのようなメリットがあると同時に就業先企業に見られたくない部分までさらすこととなるデメリットもあります。この点についてはどう思われますか。

春日:学生の日常性の会話やプライベートな写真が面接の合否に関連性があるかと言えばあまり関連性はないと思います。企業側からすればそのような日常の発言や写真などは、Facebookなのであるのは当たり前と思っています。

むしろ、学生は自分自身を発信するために臆せずソーシャルメディアでの自己ブランディング化をすべきだと思います。どう自分を見せたいのかを研ぎすますことをオススメします。これだけソーシャルメディアが広まっている世の中でそれをしないのはもったいないとさえ思います。

——春日さんは大学時代に行ったアメリカ訪問時、そのような個の発信力の強さを実感されたということですが、日本と比べてどうでしょうか。

春日:印象に残っていることは、日本だと名刺を交換するときに『○○会社の××部署に所属する某です』と言いますが、アメリカでは『マーケティングが得意な○○です。プランニングに定評のある○○です』と会社にそこまで依存しないで個の力で働きながら、自分を表現していました。

属性からはその人の中身は永遠に見えてきません。これからは名前で戦っていけないと生き残れないと実感しました。

Facebook上では友達からの紹介文もまとめることができる


——貴社が目指すアジア1のリクルーティングカンパニーになるために、今後海外にも仕掛けていくと伺いましたが、その第一弾として中国人採用を支援しています。今後の展望を教えてください。

春日:中国ではFacebookは統制されているために使用されておらず、その代わり「人人網」という巨大SNS(若者中心に約1億5千万人登録)があります。このSNSと日本の企業をつなげ合わせて日本企業の中国人の採用支援を行っていきます。

初めはSkypeなどを使って面接をして、相性が深まれば実際に会って面接という流れです。先々は中国だけに捉われずにベトナム、シンガポールなどの東南アジアでも行っていく予定です。

そして、日本、中国、東南アジアそれぞれの採用支援メディアをつなげ合わせてアジア最大のSNSを使用したリクルーティングに特化したプラットホームを展開していくことを目指しています。

——Facebookを利用することによって、就職活動のあり方そのものが変わってくると思いますが、今後どのような形になっていくと思いますか。

春日:日本の会社はこれから世界で戦っていくためにはグローバルな採用をしなければいけなくなります。もう実際に数社は外国人採用にかなり力を入れています。

しかし、今の採用メディアは国内のメディアが主流です。だからこそ外国人採用には不向きです。一方、Facebookは世界のプラットホームなのでグローバルな採用に関しては親和性が高いです。グローバルなビジネス展開に合わせてFacebookで採用を行う流れになっていくことは間違いないです。

——グローバルな採用活動が行われると日本人の働き方も変わってくると思いますが、どのようになってくると予測していますか。

春日:いずれ、アジアはビジネスを通して一体化してくると思います。そして、日本人や韓国人、中国人などが自由にアジア大陸を横断しながら働き始めると思います。その流れについていくためにも既存の採用活動ではついていけません。

これからは日本国内だけで就職先を考えるのではなく、アジア大陸全体で考えるべきです。これは何事においても言えます。アジア市場で日本の市場価値を捉えるべきです。

数年後には日本人が日本で働けなくなることさえも予想されます。このままいくと日本人の評価は下がり、中国人やインド人の受け入れが加速されると思います。人種関係なく評価が成される時代にさしかかっているのです。

アジアの中でどのような位置にいるのかを常に意識しておくべきだと思います。




春日博文
1988年2月22日(23歳)
株式会社ソーシャルリクルーティング代表取締役/学習院大学卒
Twitter:http://twitter.com/#!/Hirofumi_Kasuga
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個人blog:『「社会に生きた証を残す」×春日博文』http://ameblo.jp/jyaga222/

国内最大の就活関連Facebookページ「ソーシャル就活ナビ」
http://www.facebook.com/socialrecruitingnavi
国内初のソーシャル就活プラットフォーム「JOBRING」
http://global-jobring.com/