前回、豪雪生活について書いたが、今回は冬仕事事情を書こうと思う。
豪雪地帯の新潟県十日町市。
1年の半分は雪に覆われていると言うが、本当のようだ。

雪解けの合間からみえるフキノトウ

 

稲刈りが終われば徐々に冬支度に入る。
秋野菜を収穫し、大豆や小豆などの豆類もはざにかけて乾燥させて片付ける。雪が融けてからの半年、ずいぶんと騒ぎまくった田んぼや畑、そして道具たちを仕舞う。家々には雪で窓が割れないように、板で窓を覆う「雪囲い」を行う。
そうして今か今かと私たちの焦る気持ちを見計らって、こらえきれず雪が降り出す。

 

こうなればもちろん農業なんてできない。
雪が降らない間の短期勝負の農家さんたちは、では冬は何をしているのか。池谷の村人たちは、長野の寒天作りに始まり、日本各地へ出稼ぎに出ていたそうだ。若い農家さん達は今も、スキー場や郵便配達など冬限定でいろんな仕事をしている人が多い。七変化しながら百の仕事をする、その名の通り百姓だ。

 

 

さぁ冬の間、私はどうしよう。
何をしようか、仕事面で不安に思いつつも、かなり忙しかった農繁期を終え、少しはゆっくりとやりたいことや今までの整理ができるかもしれないとにやにやしていたのだが、おっとどっこい、冬を迎えてみれば面白いほどに仕事に追われる日々だった。誰だろうか、冬になったらやることがないと言った人は。

もちろん大雪のおかげで、除雪だけで時間がとられたがそれだけではない。
池谷集落では1月から2月まで毎週末、都会から人を呼んで雪かき体験のイベントを行った。毎回10~25人ほどの勇士たちがこの大雪の中、雪ほりを行った。
皆初心者とは言え、本当にありがたく、また冬の洞穴にいた私は参加者の皆様とおおいに交流できてつやつやと潤った。

 

 

また冬季限定で池谷集落では「けんこつ体操」という介護予防の体操教室が市の予算を受けて開かれた。

けんこつ体操の様子

 

 

先生の紹介で冬限定で水中体操のお手伝いを行うことになりそちらにも毎週通った。また村人より、池谷でのけんこつ体操を春以降も続けてほしいとのことで、介護予防体操の研修を受け、池谷でのコーチを私が春から行うことになった。

 

 

あとは池谷集落で直販している魚沼産コシヒカリ「山清水米」の受注、精米、出荷業務。
地域で始まった直売所、田んぼアートの計画。
私が所属する十日町市地域おこし実行委員会が4月からNPO法人化するにあたっての、仕組みづくり。
池谷での農地の整理。

話し合いの様子

 

 

どちらかと言うと、体より頭を使う仕事が多く、追いかけられるように一日一日をめくり続けていた。

 

 

そして本の最終ページを一気にめくったかのように4月となった。
今年は4月一週目と言えども雪が降り、路面を白く覆った。

4月7日の池谷の様子

 

まだ春は遠いが、徐々に今年の農作業の準備も始まっている。あちこちでは冬仕事を終えた農家たちが、今年の種籾を塩水選にかけ(塩水に浸すことによって籾を選別する)、土合わせをし、田の雪をどかして苗床を作っている。

 

また、1年が始まってゆく。
雪ではなく雨の日を何度か繰り返して、1ミリずつ春が近付いているように感じる。