ダンスと手話をブレンドした新しいスタイルのボーカリストとして、「手話歌シンガー」を名乗る女性がいる。それが、水戸真奈美さん(29)だ。

すべての歌を手話で歌う水戸真奈美さん

水戸さんの手話歌には、耳が聞こえる人でも聞こえない人でも楽しめるよう、すべての曲に手話と歌詞の映像がついている。

その理由を、彼女は自身のサイトでこう綴っている。

「手話をやりながら路上で歌っていたところ、それを偶然見たろうの方がとても喜んでくださり、その紹介で手話サークルに行くようになってたくさんの方に出会って話すうちに、聞こえなくても音楽が好きな方がたくさんいることを知りました。みなさんとっても明るくて、会うたびにたくさん元気をもらえるんです。そんな方々に『自分の歌が聞こえなくても歌に込められた気持ちを伝えたい』と思うようになり、本格的に始めました」

宮城県柴田町の出身で、東日本大震災で最後まで防災アナウンスを続けて亡くなった遠藤未希さんに捧げて、自ら作詞したウェディングソング「Wedding Road」を昨年6月にリリースした。そのプロモーションビデオでも水戸さん自身が手話を使いながら歌い踊る様子が収録され、Youtubeではその一部が見られるCM動画がアップされている。

現在、楽天イーグルス主催イベントのステージや震災復興イベントなど精力的に活動中で、被災地の様子を伝える講演活動や手話を使ったコンサート、自身主催の手話サークルの運営なども東京で毎月1回行っている。

今後の夢を水戸さんはこう語った。

「震災後、『手話シンガー』という自分の役割を改めて教えられたような気がします。健常者の方は、手話を見るまで『自分には関係ない』とか福祉の分野だと思いがちです。でも、一度手話を見れば、手話がろう者のためだけでなく、目を見て話し、表情を伝えるというコミュニケーションの方法だとわかってもらえるはず。なので、活動を通じて、手話の素敵さをもっと伝えていきたい」(今一生


水戸真奈美さんの公式サイト
http://www.mitomanami.net/