(1からのつづき)
Twitterから駆け付けて自転車の修理も
翌朝、起きると昨日のおじさんと2人の女性が僕を迎えにきてくれていた。自転車を直しに行こうと言うのだ。3人とも元々知り合いでも何でもなく、昨夜の僕のツイートを見てかけつけてくれたメンバーだった。僕は、そのときの感謝の気持ちをどうコトバにしていいか全然分からなかったし、手渡される飲み物や食べ物を断る方法も分からなかった。元気を届けるはずが、僕がたくさんの親切を受けた。コトバに出来ない想いを僕はありがとうのひと言に詰めて全身全霊で感謝した。
いわきを出る前の晩もTwitterを見て僕に会いに来てくれた人がいた。涙を目に浮かべながら、ありがとうって何回も言われた。僕こそ、ありがとうって言いたい。その日はいわきで触れたたくさんの温かさに想いを馳せながら、満点の星を見ながら公園のベンチで眠った。
どう感謝していいか分からない
翌日は、いわきから郡山まで自転車を走らせる。走り始めて10キロくらいのところで、初日にTwitterで駆けつけてくれたおじさんが僕を車で待っていた。ちょうど郡山に行くし、荷物を車に積んで追走してくれるという。もうどう感謝していいか分からない。そうして、10キロ分の荷物がなくなった僕の自転車は10キロ増しのスピードで進む。70キロある山道もあっという間に感じた。郡山で積んでもらっていた荷物を受け取り、初日と同じように感謝しきれない想いを“ありがとう”のひと言に詰め込んでお礼を言ってさよならをした。
その晩、生まれて初めての震度6の揺れを経験して、地震の恐さを初めて痛感した。家もなくし、職もなくし、余震も続く中、僕はいわきで強く温かい人たちにたくさん触れた。“頑張れ”っていうコトバなんて始めから必要なくて、“ありがとう。僕が頑張るね”っていうコトバしか出てこない。何がどうやって力になれるか僕にはまだ分からないけど、いわきの強いところや温かいところを伝えたいから、僕はこうやってコトバに綴る。僕の想いが、いわきの想いが、ひとりでも多くの人に届くように、願いと祈りを込めて。(寄稿 日本大学芸術学部4年 種まき団体FURUSATO代表 武士雄飛)
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