グランプリを受賞した杉山さんは、北海道の腫瘍内科医として12年間働いていた。がんなどの病気で多くの人を看取ってきたという。「病気になって、不幸だと感じてしまい、生きがいを失ってしまう人を多く見てきた」と話す。
自身の父親もがんで亡くしている。遺産の手続きなど、がんになったときの対処法に困ったことが原体験となりプランを考案したという。「万が一、がんと診断されても生活に困らないサービスがあればいいと思った」。
「病気になったからこそ気付いた幸せがある。病気になっても自分らしい暮らしができる社会を実現したい」
医師やファイナンシャルプランナー、弁護士、美容師など生活全般に関する知識を持ったカウンセラーである「がんコンシェルジュ」を組織化し、がんと診断されても、あらゆることに対処できるようにする。
杉山さんのプランは、12人の審査員全員に高く評価されたという。審査委員長で社会起業大学の田坂広志名誉学長は、「医者として患者と接する立場なので、この仕事に取り組む意義があった」と話す。
「社会起業家に一番大切なのは原体験である。お父様を見送られたときの話が胸に刺さった。いつか素晴らしい事業を成し遂げたとき、それはお父様との共同事業である」と評した。
■尊敬する人は、「お母さん」