会場に訪れた約500人の投票で選ばれる共感大賞には、杉本九実さんが選出された。杉本さんは、ICUの看護師5年目である。「患者さんが目の前で亡くなっていくのに、何もできない自分に嫌気がさした」と過去を振り返る。

思いつめた杉本さんは、理想と現実のギャップに悩み休職してしまう。休職した際に訪れた南国で、鳥やカニがありのままに精一杯生きている様子を見て、ありのままの自分を大切にすることを学んだという。

1000万人といわれるうつ予備軍を救う、ネイチャーウェルネスツアーを考案した。伊豆諸島の御蔵島でイルカと一緒に泳ぎメンタルダウンを防ぐツアーを組む。

「4カ月間、真剣に自分の人生と向き合ってきた。本当に多くの人の支えがあったからここまで来れた」と、苦悩した期間を振り返り、支えられた仲間に感謝を述べた。

審査員共感賞には、女性のキャリア支援を行う三輪恭子さんが、最大1千万円までの出資交渉権を得るエン・ジャパン大賞には上村カルロスさんが選出された。

三輪さんは、育児と仕事を両立できる女性のキャリア支援を目指す。10年ほど前に離婚し、2人の子どもを持つシングルマザーである。「仕事をやればやるほど、子どもと遊ぶ時間がなくなり罪悪感にかられた」。

しかし、ある時、三輪さんの悩みが解決する転機が訪れる。それは、子どもの授業参観で学校に訪れたときだ。尊敬する人として、「お母さん」と子どもが書いていた。それを見た三輪さんはその場で涙が止まらなかったという。

「母親が子どものために一生懸命になるのは当たり前だが、自分の夢を追うことも応援していたのだと気付かされた」と話す。

審査員であるベアーズの高橋ゆき専務取締役は、「日本のママは美しい。女性の笑顔の力で日本を元気にしていってほしい」とエールを送った。

支えてくれる仲間の思いを背に

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