エン・ジャパン大賞の上村さんは、日本人とペルー人の交流を促進し、ペルー人が「普通に暮らせていない問題」を解決する。上村さんは中学3年時に来日。外見が違うことでいじめを受けてきたという。
「子どもの頃は、いじめられないために、日本人と同じように茶髪にしたり、腰パンもした。社会人になっていじめはなくなったが、社会からの偏見や差別が待っていた。アパート探しは困難、仕事は3Kか日雇い労働のみ。日本に住むペルー人は普通に暮らすことが困難だ」
日本には約6万人のペルー人が暮らし、その数はアメリカ人よりも多い。「在日ペルー人が失ってしまった母国のアイデンティティを取り戻すために、交流会を企画する」と上村さんは話す。
ペルー文化を発信して、日本人と友達になるAMIGO PROJECT(アミーゴプロジェクト)を企画している。
エン・ジャパンの越智通勝会長は、「ペルー人が自信をなくしていると言ったが、日本人も自信をなくしている。ペルー人の明るさで、日本人に良いところを言ってほしい」と述べた。
今回のグランプリからは、ソーシャルイントラプレナー賞も新たに創設され、富士通ソーシャルクラウド事業開発室の生川慎二シニアマネージャーが選ばれた。ソーシャルイントラプレナーとは、企業にいながら社会的事業を行う社内社会起業家を指す。
生川さんは、被災地でICTによる高齢者の在宅介護などを行ってきた。被災地で得たノウハウを生かし、高齢化社会を迎える将来の日本の医療を支える。「企業にソーシャルイントラプレナーが増えないと、社会は良くならない。今後も様々な人やセクターと連携して動いていきたい」と話した。
グランプリの最後に審査委員長である田坂名誉学長はこう総評した。「一人の決意や力だけで事業を軌道に乗せることはできない。成長を支えてくれる周りの人の思いを背に、事業を拡大していってほしい」。(オルタナS副編集長=池田真隆)
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