「まずもってかだっからきいてけさいん」。これは宮城県南三陸町の方言で、「まずお話しをするから聞いてください」を意味する言葉だ。そして、彼女がリーダーを務める 高校生による語り部団体の名前でもある。彼女は、南三陸対する強い思い入れもあり、団体名に地元の方言を使った。
2011年3月11日、田畑さんは中学3年生で、翌日に卒業式を控え、式の予行練習をしていた。その時、激しい揺れにみまわれ、しばらくして大津波が南三陸町を襲った。
「地震が起きた時、先生たちの指示に従って体育館に待機していた。津波が来たことを知らされ、励ましながらも、次第に私もパニックと過呼吸になり、とても辛かった」と、当時を振り返る。
津波により自宅も流され、生活のサイクルも一変した。そして周りを見渡した時に、彼女は、危機感を覚えた。「南三陸を復興させよう!」と大人は意気込んではいたが、実際は全然復興は進んでいない。加えて、大人たちは自分たちに起こったことを言語化することから逃げていると感じたのだ。
そんな中、親友が南三陸から去り、田畑さんは大きなショックを受けた。