帰国後すぐに動きだし、2011年8月1日、ネイルサロンBi nailを開業した。女性が働ける場所がまだまだ少ないため、雇用を生みたいという思いからだった。カンボジアでは、幼い頃からネイルをするのが常識だという。しかし、屋台などでネイルをしてくれる場所はあるものの、衛生面での教育やちゃんとした技術はまだまだ得られていないのが現状だ。
Bi nailはその後Bi salonに名前を変え、ネイルだけでなく美容サロンとして様々なサービスを取り入れている。さらに年内を目標に、美容学校の設立を計画している。技術を教え、手に職を持てる人を増やしていくためだ。
技術を教えるのは、日本の美容師やネイリストである。日本から技術者を呼び、クオリティの高い技術を学ばせることは、まだ「美容業界」と呼べるものが存在しないカンボジアにとって、その枠組みを創る試みとなるだろう。現在は、re:terra(リテラ)の渡邉さやかさんをビジネスパートナーとして、学校設立やサロン事業拡大のために動いている。
すでに、美容技術を学びたいという女性が多くいるという。「美しくなりたい」という思い、また美容の仕事が人気なのは、やはり世界共通のようだ。
また近年では、日本の美容院がプノンペンに進出するという話も少なくない。「外国の企業やお店が進出する際、一番苦労するのは人材です」とケムラさんが話すように、「競合」とするのではなく、きちんと教育をした人材を派遣できる窓口になりたいという。
「カンボジアの発展に貢献していきたい」というケムラさんの思いは、小さい頃にテレビで外国の映像を見たときから、変わらない。そして今年25歳になったケムラさんは、「日本とカンボジアの架け橋となりたい」と夢を語ってくれた。