店舗の女性従業員割合が8割を占める西友が、さらに女性の社会進出を加速する。「女性が活躍する企業」を対象に、家事・育児に関する商品を公募し、審査を経て選出された商品は、同社のオンラインサイト「SEIYU ドットコム」で販売される。西友が一般企業から商品を公募するのは初。プロジェクトリーダーは入社6年目の女性社員だ。社内の主要ファンクションに声をかけ、社内を動かした。(オルタナS副編集長=池田真隆)

インタビューを受ける射手夏子さん


プロジェクトのリーダーは、企業コミュニケーション部サステナビリティに所属する射手夏子さんだ。射手さんは学生時代からフェアトレードや人権問題に関心があった。カリフォルニアに留学し、現地の人権と環境を取り扱ったNPOでインターンし、帰国後は、フェアトレードの普及活動を行う学生団体FTSN(フェアトレードスチューデントネットワーク)の創設に携わった。

学生時代の活動から入社時は、「サステナビリティ」部署を希望していた。しかし、社内の方針からまずは、2年間店舗で働き、現場を経験することに。2010年から、念願のサステナビリティ部署に異動した。

同プロジェクトの話が部署内であがった際に、射手さんは、自らプロジェクトに関わりたいと真っ先に手をあげた。女性が活躍する企業を応援するための仕組みとして、同社初の試みである公募を採用した。

プロジェクト実施の背景には、西友の取引先の中に同社の親会社ウォルマートが支援する女性所有企業の数が少ないということがある。女性所有企業とは、アメリカ国内で定義されているもので、「経営トップが女性」「株式の半分以上を女性が所有」という2つの条件を満たしている企業のことを指すが、日本においては馴染みがない。

プロジェクトの開始当初、自社の取引関係の企業の中では、女性所有企業の数は、まだまだ少ないことが判明した。そこで、この数を増やし女性が中核を担う企業を応援する仕組みを考案した。同社内で定義する「女性が活躍する企業」を対象に、育児と家事に関する商品を公募で集め、選出された商品をオンラインサイトで販売するものだ。


「女性が活躍する企業」の定義は、「女性が経営トップ」、または「課長相当以上の管理職で10%以上が女性」の企業である。9月30日まで募集しており、販売開始時期は来年2月からだ。

射手さんは、「ママ向けの子育てグッズも良いが、ジョギング用のベビーカーなど、パパ向けの子育てグッズにも期待している」と話す。オンラインサイトでの売上次第で、実際の店舗で販売することも検討する。

目標は、「まずは、オンラインサイトで魅力的な10商品の販売をすること」だ。「オンラインサイトでの販売なので、供給量が多くなくても取り扱い可能。企業規模に関係なく、女性ががんばっている企業に対して、門戸を広げた。」(射手さん)

公募特設ページ: http://www.seiyu.co.jp/women/