大阪を拠点に、「ホームレス状態を生み出さない日本を目指す」NPO法人Homedoor(ホームドア)の川口加奈代表(22)の勇気をもらった言葉を紹介する。(オルタナS副編集長=池田真隆)

ホームドアの川口代表

「社会に良いと言われることをしたいのか、それとも社会を変えることをしたいのか」

この言葉は、川口代表が2010年に任意団体を立ち上げた当初に聞いたもの。NECが主催する社会起業塾の講師に言われたという。

この言葉を聞いたときに、川口代表は、「今まで小さく縮こまって考えていたが、物事を大きく俯瞰的に考えることができるようになれた」と話す。

川口代表は14歳から炊き出しの手伝いに参加するなどホームレス問題に取り組み、2010年19歳でホームドアを設立した。炊き出しに参加したきっかけは、通学路にホームレスがたくさんいて、興味を持ったからだという。

大阪が抱えるホームレス・放置自転車の2大問題を同時に解決する「ハブチャリ」などを展開し、ホームレスや生活保護受給者の自立支援と雇用創出を目指す。

ハブチャリでは、ホームレスの特技である自転車修理を生かして、シェアサイクル事業を行う。管理するのもホームレスだ。ハブチャリでこれまでに52人が働き、20人が次の仕事を見つけた。

「年間200人以上が大阪市内の路上で凍えて亡くなっていく。ホームレスになる構造をつくらないために活動していきたい」と川口代表は意気込む。

国内のホームレスは50代~70代が多く、家族・親戚など身寄りがない者がほとんど。「幼い頃から、『ホームレスには近づいてはいけない』と言われて育ったが、それは違うと思っている。特別視はしていないし、接していても、何ら変わった点はない」(川口代表)

事業内容と社会性が評価され、さまざまなビジネスプランコンテストで受賞する。2012年には、世界経済フォーラム(通称・ダボス会議)が主催するYounGlobalShapersに選出された。格差ゼロ社会を目指し、若き女性リーダーの奮闘は続く。

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