清谷啓仁さん(26)は今年3月、2年半務めたファーストリテイリングを辞めて、日本を出た。国際協力やビジネスの現場を見ながら、世界一周の旅を続ける。ここでは、清谷さんがこれまでに取材してきた記事をまとめている。国際協力とは何か、旅をしながら若者は考えた。

世界を周る清谷さん

清谷啓仁:1987年1月16日生、兵庫県神戸市出身。2年半勤めた(株)ユニクロを退社後、世界一周の旅へ。独立行政法人JICAの協力のもと、国際協力やビジネスの現場をめぐって旅をしている。地域活性化や地場産業など、現地コミュニティに根を張ったビジネスに興味あり。

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誤解しないで 人身取引は日本でも起こっている

人身取引は基本的人権と人間の尊厳に対する重大な侵害であり、世界の国が協同して取り組むべき課題である。強制売春、強制労働、偽装結婚、臓器摘出、強制的家庭内労働、強制的物乞い、児童兵士――人身取引には様々な形態があり、日本人にとっても決して無関係な話ではない。私たちの身近に潜む、「人身取引」の闇とはいったい。タイのバンコクにてJICA専門家として活動する、百生詩緒子さんに話を聞いた。

カンボジア 過剰な経済成長の裏で深刻化する森林減少

近年経済成長率7%前後と著しい発展を遂げるカンボジアであるが、その一方で毎年12万ヘクタールの大規模な森林減少が起こっている。直接的な要因は、違法伐採の横行、農地への転用、森林火災などであるが、脆弱な行政運営能力、地方の貧困、人口増加などがその遠因となっている。森林減少・劣化の抑制などによる温室効果ガスの排出削減の効果が高いと見込まれる同国は、国際協調枠組であるREDD+パートナーシップに参加し、JICA等のドナー機関と共に持続可能な森林経営を目指している。森林保護のためには、どのような取り組みが必要とされるのだろうか。JICA企画調査員の内田東吾さんに話を聞いた。

加速する日印産学交流

BRICSの一員として注目が集まるインド。インド政府は更なる社会経済発展を目指し、理工学系の人材育成を強化・拡大するため、2007年に新設されたインド工科大学8校のうち1校の支援を日本へ要請した。日印が目指す高等教育機関のあり方とは。インド工科大学ハイデラバード校(以下、IIT-H)で客員助教授として勤務する、JICA専門家の片岡広太郎さんに話を聞いた。

インドの貧困層に「教育」を、小さな村で奮闘するNGOスクール

IT分野での目覚ましい発展に注目が集まるインド。しかし一方では、世界最大の最貧困者を抱える国としても知られ、依然として大きな社会問題となっている。中でもビハール州はインドで最も貧しい州であると言われ、多くの子どもたちが学校に通えないでいる。貧困地域における教育の実態を、ニランジャナスクール(NGO)を運営するディベンドラ・パタックさんに聞いた。

0~6歳児に日本の伝統を伝えるブランド「aeru(和える)」

「日本の伝統を次世代の子どもたちにつなげたい」--0から6歳の伝統ブランド「aeru(和える)」代表の矢島里佳さんは、伝統産業への想いをこう語る。「徳島県から、本藍染めの出産祝いセット」「石川県から、山中漆器のこぼしにくい器」など、古き良き日本の伝統技術と現代の感性とを和えたaeruの商品は、aeruスタッフ、職人やデザイナーとの二人三脚によって生み出される。「子ども目線で作られたホンモノを通し、子どもたちの豊かな感性や価値観を育むお手伝いができれば嬉しい」と話す矢島さんに、aeruにかける想いを聞いた。

大豆増産なるか、インドの貧困州でJICAが農業技術支援

マディヤ・プラデシュ州(以下、MP州)はインド第6位の貧困州であり、貧困人口の多くが農業によって生計を立てている。また、MP州は国内生産量の5割を占めるインド最大の大豆生産州であるが、面積あたりの収量は約1,100kg/haと、インド全体の平均程度に留まっているのが現状である。大豆が主な収入源であるMP州の農家にとって、生産性向上は生活水準の改善に繋がる。生産性向上を目指し、現地ではどのような支援が行われているのか。JICA専門家、辻耕治さんに話を聞いた。

学校では教わらない、ブラジル日系社会とは

ブラジルは世界最大の日系人居住区であり、1908年以降の約100年間で25万人の日本人がブラジルへと移住した。彼らとその子孫は「日系社会」を形成し、現在は約150万人の日系人が住むと言われている。サンパウロ州にはその約70%にあたる日系人が生活しており、ブラジル社会に与える影響も少なくはない。学校では詳しく教わることのない「日系社会」とは一体。教育、そして高齢者介護に焦点を当て、2人のJICA日系社会ボランティアに話を聞いた。

ブラジル化する日系人、サンパウロ新聞社編集次長語る

ブラジルは世界最大の日系人居住区であり、1908年以降の約100年間で25万人の日本人がブラジルへと移住した。彼らとその子孫は「日系社会」を形成し、現在は約150万人の日系人が住むと言われている。サンパウロ州にはその約70%にあたる日系人が生活しており、ブラジル社会に与える影響も少なくはない。戦後よりブラジルで日本語新聞を発行してきたサンパウロ新聞社は、日系人の耳目としてコミュニティを支えてきた。半世紀以上に渡って日系社会に貢献してきた同社は、いまこの社会をどう見ているのだろうか。編集次長の松本浩治さんに話を聞いた。

防災は「BOSAI」へ、日本の知見を世界に

2011年1月、ブラジルのリオデジャネイロ州ペトロポリス市の山岳部を中心に、豪雨による大規模な土砂災害が発生した。日本で大きく報じられることはなかったが、被害は死者数900人以上、全壊戸数1万戸以上にも上り、今なお多くの人が行方不明のままとなっている。過去に例のない大災害を契機に、ブラジルにおける「防災」が大きく見直されようとしている。当地でJICA専門家として活動する、武士俊也さんに話を聞いた。

25歳板前、8カ国の厨房で修行、「一生懸命の寄り道がしたかった」

世界の厨房で働きながら旅をするーーある三ツ星料亭での板前修業を中断し、田中佑樹さん(25)は世界一周へと旅立った。コネもツテもない状態からスタートし、自分を働かせてくれる店を一軒ずつ探し回り、最終的にはアメリカ、ペルー、スペインなど8カ国の厨房を訪れることができた。板前として異色ではあるが、「板前である前に、一人の人間としてどう生きるかを考えたかった」と田中さんは語る。彼は何を感じ、世界に飛び出したのか。一人の若者の胸中に迫った。

2014サッカーW杯の影、格差広がるブラジルの教育現場

2013年6月、サッカー王国ブラジルでコンフェデレーションズ杯が開幕された。優勝はブラジル。そんな華やかさをよそに、開幕期間中は全国各地で数十万人規模のデモが度々行われていた。彼らは高水準の教育・保健・公共交通機関などを求め「国費の無駄遣い」と甲高に叫んだ。大規模デモが起きる要因の一つであるブラジルの教育現場に迫った。

97カ国1万点の試し書き用紙を収集した男、「試し書きはアート」

ベルギーで「世界タメシガキ博覧会」が8月に開催され、3日間で述べ500人の来場客を集めた。仕掛けたのは世界で唯一の試し書きコレクター、寺井広樹さんだ。文房具店に備え付けられたペンの書き心地を試す用紙を、これまでに97カ国・約1万点に渡って収集してきた。「タメシガキの魅力は『無意識のアート』であること」と語る寺井さんに話を聞いた。

「国際協力とは何なのか」、青年海外協力隊が抱える葛藤

子どもが未来を切り開いていく「きっかけ」でありたいーそう語るのは、青年海外協力隊としてコロンビアで活動する藤岡摩矢さん。コロンビア第二の都市メデジンのLa Escuela de Maestro(先生のための学校)にて、現地の先生に対する教育指導を行っている。先生たちはここで学んだことをそれぞれの学校へと持ち帰り、子どもたちにより良い影響を与えられるよう、日々取り組んでいる。

エクアドルでバナナ栽培に奮闘する日本人、「食の安全」を語る

エクアドルの首都キトからバスに乗ること4時間。ラ・コンコーディアという郊外の町で、バナナ栽培に奮闘する日本人がいる。田邊正裕さんが育てる「田辺農園のバナナ」は、日本の消費者の間でも美味しいと評判のバナナだ。農園は自然との共存共栄を理念として「自然な形で育てること」にこだわり、より安心できる食べ物を日本市場に届けることに尽力している。BSE問題やTPP交渉参加表明に端を発し、揺らぐ「食の安全」。生産者として、そして私たち日本の消費者として、どうあるべきなのだろうか。

社会格差に立ち向かう、中南米に広がる職業訓練

未来を切り開く力を後押ししたいーそう語るのは、エクアドル職業開発機構(SECAP)で支援を行う、JICA専門家の菊池四郎さん。同国では1人当たりの国民総所得が4,000ドルを超える一方、農村部で暮らす住民の4割近くが1日2.6ドル以下で生活を送っており、そうした社会格差の是正が大きな課題となっている。

TPP、農家の進む道は?貿易自由化経験したコスタリカから見る

2013年3月、安倍内閣総理大臣はTPP交渉への参加を表明した。立場によっては参加の是非が問われるところではあるが、国内農業の行く末がTPPにおける論点の一つとなっている。

中米コスタリカでは、2009年にアメリカを含む中米諸国との自由貿易協定が発効され、農産物もそれに伴って自由に国を行き来するようになった。自由貿易協定において、日本の先を行くコスタリカ。同国の農家たちは、どのように自由貿易協定と向き合っているのか。JICAシニア海外ボランティアとして活動する、平井靖さんに話を聞いた。

「自立」とは何か、障がい者自立生活センター担当者が語る

「私は事故にあって身体が不自由になってからも、自分のことは自分ですべてやっている。だから、私は『自立』できている」

「以前までは、それが自立と思われていたけれど、介助者を必要としている人たちもいる。自分でできないとしても、大切なのは自分で決定することで、さらにその決定を実行して責任を持つことが『自立』だ」

上記は、障がい者の自立生活における「自立」の概念についての議論の一部だ。メインストリーム協会(障がい者自立生活センター)の井上武史さんは、JICA草の根技術協力活動の一環として、中米コスタリカにて障がい分野への支援を行なっている。

ニカラグアの社会福祉サービスを改革 JICAの新しい挑戦

暴力や犯罪、児童労働、そしてアルコール・薬物依存。中米ニカラグアでは、2005年には104,103件であった犯罪件数が、2010年には161,757件と増加傾向にあり、貧困を背景とした治安の悪化が顕著となっている。特に大きな問題となっている家庭内暴力においては子どもや女性が被害を受ける場合が多く、ニカラグア政府は、社会的に脆弱で危険に晒されている人々の保護の重要性を強調している。

住民が社会リスクに直面する機会が増加する中、JICAは家族・青年・子ども省(通称、家族省)と協働し、こうした問題を未然に防ぐための「予防」活動と、既に起きている問題への対応である「ケア」活動の2つを包括的に提供する統合サービスを確立し、社会リスクへの対応強化を図っている。現地で奮闘するJICA専門家の佐藤真江さん、宇佐美茉莉さんに話を聞いた。

開発途上国で抱く青年海外協力隊員の悩みとやりがい

JICAボランティア事業の一環として、世界中の国で活動する青年海外協力隊。彼らは開発途上国の公的機関などに所属し、指導・助言・調査を通じて、開発途上国の人材育成を図り、国の発展に協力する。日本が持つ技術や経験を伝え、役立ててもらうことに大きな意義があり、それは開発途上国との友好及び相互理解にもつながる。開発途上国政府からの信頼は厚く、これまでに約30000人の隊員が派遣されている。

生活環境が厳しく、精神的なストレスが強い開発途上国において、彼らはどんな想いで日々を過ごしているのだろうか。ニカラグアで活動する、楊殿閣(やなぎ でんか)さんに話を聞いた。

7月9日はシャーガス病の日 中南米に潜む恐怖の熱帯病

シャーガス病という病気をご存知だろうか。中南米特有の寄生虫症で、サシガメという吸血性カメムシを媒介して人間へと感染する。シャーガス病は感染しても目立った症状がなく、10~20年以上にも及ぶ長い潜伏期間の後に心臓肥大などを発症し、最悪の場合は死に至ることもある。感染後1~2カ月間の急性期に有効な治療薬はあるものの、感染に気付かずに慢性化すると治療は難しくなり、個人・ 社会への経済的負担が大きい。

中南米には750万人以上の感染者が存在すると推定され、米州保健機構(PAHO)はマラリアに次いで深刻な熱帯病であると位置づけている。そうした中、JICAは1991年よりグアテマラでシャーガス病研究に着手して以来、中米各国で技術協力を展開してきた。シャーガス病とは一体何なのか。ニカラグアで活動するJICA専門家、中村二朗さんと吉岡浩太さんに話を聞いた。

ホンジュラスの珈琲を世界中の人に!小さな村に起こった革命とは

ホンジュラス東部のエル・パライソ県に、エル・パコンという小さな村がある。この村ではコーヒーを始めとした様々な産業が村人たちの手で立ち上がり、農村地域に仕事が増えつつある。

農牧省に設立された農村・都市部持続的開発国家プログラム(PRONADERS)は、収入向上を通して農村地域の貧困住民の生活を改善することを目的に、「地域小企業支援プログラム」を実施している。エル・パコン村に起こった革命とは何か。JICAシニア海外ボランティアの川人美智子さんと、エル・パライソ県地域小企業支援プログラム代表のアレハンドロさんに話を聞いた。

立ち上がる住民たち、中米ホンジュラスに広がる地方分権の波

世界的に大きな潮流となっている地方分権化。細かいニーズに対応するため、中央から地方へと権限を委譲していく。ホンジュラスも例外ではなく、政府は地方分権を通じた地域開発を重視している。しかし、ホンジュラスの市のほとんどは小規模自治体であり、財政・組織・行政ともに能力が低く、分権化に伴って委譲される権限や資金を開発に生かしてきれない。

こうした現状を受け、JICAはホンジュラス内務・国民省(SEIP)を協力機関とし、2006年から「地方開発のための自治体能力強化プロジェクト(FOCAL)」を実施してきた。自治体の能力を強化するとは、どういうことか。JICA専門家の有本稔さんに話を聞いた。

オンライン西会話スパニッシモの挑戦 中米グアテマラで働く先生たち 2/2

スペイン語を習いたい全ての人が適切な値段で学べ、その金額によってグアテマラの講師の生計の一助になる知的フェアトレードの確立を目指すーそう意気込むのは、オンラインのスペイン語会話サービス「スパニッシモ」を運営する有村拓朗氏と吉川恭平氏だ。サービス立ち上げから1年余り。雇用問題が深刻化するグアテマラにおいて、先生たちの生活はどう変わったのか。スパニッシモのパートナーであるスペイン語学校「CANO(カノ)」で働く、イングリッド先生に話を聞いた。

オンライン西会話の挑戦 中米グアテマラで働く先生たち 1/2

スペイン語を習いたい全ての人が適切な値段で学べ、その金額によってグアテマラの講師の生計の一助になる知的フェアトレードの確立を目指すーそう意気込むのは、オンラインのスペイン語会話サービス「スパニッシモ」を運営する有村拓朗氏と吉川恭平氏だ。

サービス立ち上げから1年余り。雇用問題が深刻化するグアテマラにおいて、先生たちの生活はどう変わったのか。スパニッシモのパートナーであるスペイン語学校「CANO(カノ)」を経営する、マリア校長先生に話を聞いた。

世界に羽ばたけ日本のオンパク!中米グアテマラに起こった変化とは

大分県別府市で始まった温泉泊覧会、通称「オンパク」。地場産業振興をモデル化した手法として、日本各地で普及している。日本発のオンパクが現在は海を越え、中米グアテマラの地場産業振興プロジェクト(PROFIL)における、一つの重要な開発ツールとなっている。

PROFILは、JICAとグアテマラ経済省が中心となり、ケツァルテナンゴ・トトニカパン・ソロラの西部3県で実施されている。地場産業の振興は、同国にとってどのような意味を持つのか。JICA専門家の内河友規さん、グアテマラ経済省地域経済事務所のクルスさんに話を聞いた。