少年院出院者や刑務所出所者の就労支援活動が全国に広がりつつある。「出所した人や少年たちを支えたい」と、関西や関東の民間企業を中心に18社が連合体を組む。再犯率を大幅に改善する就労への道を照らす。(オルタナS副編集長=池田真隆)

職親プロジェクトの調印式=4日、日本財団で

今年2月、就労支援策「職親(ショクシン)プロジェクト」が関西の企業7社の協力の下、動き出していた。今月には関東を中心に9社が加わり、就労で再犯防止を目指す活動の輪が全国に規模を拡大している。

新たに参画する9社との協定を締結するため4日、日本財団で調印式が開かれた。加わる9社の代表に加えて、日本財団の笹川陽平会長も出席した。

同プロジェクトでの対象者は初犯のみで、薬物がらみ・性犯罪・殺人・14歳未満への犯罪・暴力団組員以外に限る。

日本財団を窓口に、企業から求人情報を集め、少年院や刑務所に送る。受刑者は興味のある企業に、課題と履歴書を送り、企業側の判断を経て面接に進む。面接で受かれば、刑期を終えた後に働くこととなる。

ショクシンプロジェクトは民間有志企業での動きだ。民間からも犯罪者の就労支援問題の解決へアプローチする。同プロジェクトでは、これまでに5人の就労を成し遂げている。

法務省が発表した2011年度の犯罪白書では、就労している人とそうではない人を比べたとき、再犯を犯す確立が5倍ほど違うことが分かった。

犯罪者の就労支援は、法務省による協力雇用主制度がある。約1万社が登録しているが、去年はその内の380社で800人弱しか採用しなかった。ほとんどが、書類審査時点で受け入れ拒否となっている課題があった。

日本財団の再犯防止プロジェクトチームリーダーの福田英夫さん(42)は、「同じ思いを持つ企業が連合することで、(犯罪歴のある人を採用するという)負担や悩みを共有し合い、解決の糸口を探る。専門機関とも連携し、就労支援を加速させていきたい」と話す。

【職親プロジェクト参加企業一覧】

千房 株式会社(代表取締役 中井政嗣)
株式会社 一門会(代表取締役会長 上山勝也)
株式会社 牛心(代表取締役社長 伊藤勝也)
株式会社 信濃路(代表取締役社長 西平都紀子)
カンサイ建装工業 株式会社(代表取締役社長 草刈健太郎)
株式会社 プラス思考(代表取締役社長 湯木尚二)
株式会社 プログレッシブ(代表取締役 黒川洋司)

<発足後に参加した企業一覧>
株式会社 藤岡工務店(代表取締役 藤岡義和)
株式会社 菜花野(代表取締役 中野 護)※ 11月28日締結予定

<新たに参加する企業一覧>
株式会社 アイエスエフネット(代表取締役 渡邉幸義)・・・・・・・・・東京都
S・TEC 株式会社(代表取締役 白土将敏)・・・・・・・・・・・・・東京都
セリエコーポレーション(代表取締役 岡本昌宏) ・・・・・・・・・・・神奈川県
ビ・ボーン 株式会社(代表取締役 宮下俊吉)・・・・・・・・・・・・・山梨県
株式会社 藤巻製作所(代表取締役社長 藤巻 豊)・・・・・・・・・・・静岡県
株式会社 T2factory(代表取締役 武山俊淳)・・・・・・・・・静岡県
株式会社 SHIROコーポレーション(代表取締役社長 廣瀬雅一)・・・京都府
北洋建設 株式会社(代表取締役 小澤靜江)・・・・・・・・・・・・・・北海道
株式会社 ヒューマンハーバー(代表取締役 副島 勲)・・・・・・・・・福岡県