宮大工や染織物、花火など伝統産業の担い手をネット上で月500円から支援する動きが起きている。1人の職人の成長を、10人以上のコミュニティで支え、支援者は特典として、年に1度製品を得られたり、体験教室に通うことができる。ネット上のコミュニティが、若手職人の成長を見守る。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
この動きを起こしているのは、ソーシャルメディアの構築・運用代行を行うガイアックス(東京・品川)。同社は去年の8月、伝統サポーターズをリリースした。同サイトでは、伝統産業の若手職人たちの人柄や作品づくりにかける思いを紹介し、ユーザーは、気に入った職人のサポーターになれる。
サポーターは年間契約で、毎月500円・1000円・1500円の3種類から支援金を選べる。支援金のうち、手数料として20%は引かれ、金額によって、年に1度の特典内容が変わる。サポーターが最低10人以上集まってから、支援が始まる仕組みだ。同サイトは、2014年8月にベータ版としてリリースし、同年12月までに50人の職人から掲載希望の問い合わせがあった。同社では、「一定の修行を積んでいるか」・「ホームページなどで情報発信をしているのか」などの点を審査。現在、木工・陶磁器・和菓子など12ジャンルから18人を掲載している。
伝統サポーターズの桜井里子プロデューサーは、2015年中に、掲載している職人の数を18人から150人に、そして、サポーターの数を、現状の70人から1万人を目指すと言う。現状のサポーターは、50代が中心だが、今後のターゲット層として、伝統産業から遠い若年層と日本に来る外国人観光客を定めている。
同サイトは、桜井プロデューサーが社内コンペで提案したものだ。桜井プロデューサーは、前職で地域情報誌の編集を担当していた。そこでは、地方の中小企業が媒体に広告を出しても新規顧客を獲得できない現状をたびたび目の当たりにした。衰退していく地方の産業を活性化する方法を模索しており、同サイトで形にした。
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