2011年から始まったリクルートホールディングスの就職応援プログラム「ホンキの就職」において通算受講者数が1万人を越えた。ホンキの就職は新卒、既卒にかかわらず就職に苦戦する若者に無料で就職支援を行う同社のCSR活動だ。現在、受講者の3人に2人が3ヵ月以内に内定を獲得している。実践型セミナーで伝授される「可能性の見つけ方」「自分の得意分野の生かし方」とはどのようなものなのだろうか。(オルタナS副編集長=池田真隆)
■就職活動の肝は自己分析?
そもそも「就職活動」というと何を思い浮かべるだろうか。筆者の周りでは、「自己分析」という声をよく聞く。一体、なぜか。1万人以上の受講者をサポートしてきたホンキの就職では、自分の得意なこと・強みを発見する利点を3点挙げている。
1点目は、「得意なこと・強み」を活かせる業種・職種を幅広く知ることができ、就職の選択肢が広がるから。2点目は「得意なこと・強み」を自己認識することで自信が持て、主体的な行動が可能になるから。最後は、「得意なこと・強みが生かされた経験や具体的なスキル」を棚卸しすることにより、求人要件にマッチした自己PRをエピソードを交えて話せるようになり、面接の通過率が上がるから。――以上の3点だ。
確かに、自己分析をおろそかにした就職活動の場合、適性や強みを自己認識しないままとなり、自身を生かせる業種・職種を正確に理解できず、選択肢を狭めてしまったり、ミスマッチを生じさせたりしてしまうだろう。結果、面接担当に伝わるように話ができず、内定が獲得できない、という悪循環にはまることが懸念される。
ホンキの就職でも、プログラムの一環として、得意なことを発見するワークを行う。担当の安部浩二氏は、「自分の強みと企業が求める要件を一致させることが、面接を通過するためには必要な視点です」と話す。
自分の強みが、その要件に、どう結びついてどう生かせるのか、をエピソードを交えて伝えることで、企業としては、その人が活躍するイメージがより湧きやすくなるという。
とはいえ、同社のプログラムでは、いきなり深い自己理解を目指すのではなく、小さな一歩を踏み出すことを大事にする。まずは簡単なツールを用いて、自己分析・適職診断を行う。その結果を元に、グループワークを行ったり、自己内省をしたりするうちに、自身への理解が深まっていくケースが多いのだそうだ。
■面接は憂鬱か
就職活動が本格化していくこれからの季節、「面接が憂鬱だ」という声も少なくない。
ホンキの就職で実施している受講者アンケートでも、セミナー受講前は面接に対し「前向きでない」「あまり前向きでない」という声が約4割(合計37.7%)を占める。しかし、セミナー受講後では「前向き」「非常に前向き」と回答する割合が約9割(合計90.5%)に達するようになるというから驚きだ。一体どこでそのような変化が生まれるのだろうか。
自己PRと面接に特化した1Dayセミナーでは、自己診断シートを使い、これまでの就職活動で何が問題だったのかを自分自身で振り返る。次にグループワークを行いながら、自身の課題点を確認する。課題を特定したら、最後は面接練習を通して改善。面接練習では、面接担当役も体験するので、採用者側の視点も得ることができるのが特徴だ。こうしたワークを繰り返すことで自信がついていくという。
また、受講者によると、仲間とのディスカッションを経て「悩んでいるのは自分だけでない」ということが分かるのも大きなメリットだという。
特に4Daysグループワークでは4日間にわたって取り組むことで、参加者同士が就職活動における心強い仲間となる。お互いを励まし合い、助けあい、改善点を指摘しあうことで、全員で内定を獲得するという空気感が生まれるのだそうだ。そうして、一人ひとりに行動力が備わっていく。
1万人という多くの受講者へ就職活動の極意を伝えてきたホンキの就職。就職活動は一人ではなかなかハードだが、就職活動がうまく行かずに悩んでいる人も、20代・30代の色々な人と切磋琢磨する場に行けば、刺激と支えになり、目の前が大きく開けそうである。