栃木にキャンパスを置く帝京大学経済学部1年の近野秀亮さん(19)は2013年6月から、山形に避難してきた子どもたちの学習支援を行う。2013年4月にSNSで、学習支援仲間を募ったところ、山形大学に通う高校時代の友人が協力を申し出た。現場では、友人を中心に週に一回の無料の学習塾を開き、近野さんは東京での打ち合わせを主に担う。(オルタナS副編集長=池田真隆)
この動きの発端となったのは、近野さんが2013年4月にフェイスブックに投稿したある思いからだ。もともと子ども好きだった近野さんは、地元山形に避難している子どもたちのために何か力になれないのかと投稿した。この投稿に反応したのが、近野さんの高校時代の友人で、山形大学工学部1年の横山裕大さん(19)だった。
二人はすぐに意気投合し、学習支援団体「Freres(フレール)」を立ち上げた。山形に自主避難している母親たちがつくった「山形避難者母の会」と連携し、毎週土曜日の午前中に無料の学習塾を開いている。
小・中学生が中心で、毎回10人前後の子どもたちが通う。講師は、横山さんが通う山形大学の学生約20人が務める。近野さんは普段栃木にいるため、長期休暇しか山形には戻れない。主に、東京での打ち合わせなどを行う。
現在、山形への自主避難者数は約1万人いる。そのほとんどが、父親を福島に残し、母子だけで避難しており、二重の生活を送っていることになる。家賃や光熱費など経済的負担が倍となり、いつ帰れるのか分からない精神的な辛さも負う。
教える大学生たちは、勉強だけでなく、子どもたちの相談にも積極的に乗っているという。近野さんは、「この事態に、家で親に気を遣っている子どももいる。ストレスを抱え込まないように、悩み事を聞くようにしている」と話す。