伊藤忠商事は20日、新たにコーポレートメッセージ「ひとりの商人、無数の使命」を発表した。同社の企業理念「豊かさを担う責任」の意図を明確化し、同社の存在意義を広く社会に伝えるものだ。同社がこのメッセージに込めた真意を探る。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

同社が社会に対して果たすべき役割を示した言葉

同メッセージには、総合商社御三家の一角を占める同社の4つの独自性が詰まっている。一つは、「自由闊達な精神」だ。そして、2つ目は、困難に向かい挑み続ける「野武士集団」としての姿、「類まれな個の力」による組織力、続いて、いかなる環境にも適応し、危機を乗り越えていく「現場主義」の底力、最後に、ミッションへの明確な自覚をもち、顧客のニーズに応えるために、多様な事業を最後までやり抜く「プロ意識」だ。

同社では、このメッセージを策定するにあたり、伊藤忠グループの「ifs未来研究所」の協力を得た。同研究所が主体となって外部クリエイターを集めた。同社社員へのインタビューを実施し、「人こそ資源」「個の力が見えている商社」が原動力にあると定め、このメッセージを考案した。

同研究所が社員に対して行ったインタビューは広告として、同社特設サイトで公開されている。公開されているのは、岡藤正広社長をはじめ、総合商社初の女性役員である茅野みつる・法務部長や入社7年目の中堅社員など8人。

■最前線を知らずしてビジネスはできない

それぞれが現場主義を貫く姿勢にフォーカスがあてられている。たとえば、機械カンパニー 自動車第一課・太田麻耶氏は、「総合職の女性のなかでは一番僻地に行った」と自負する。彼女の仕事は、中近東とアフリカに自動車を輸出することだ。

担当地区は、アルジェリア、モロッコ、コートジボワールなどフランス語圏で、毎月1週間は海外に出張する。異国の地で苦労も多いが、「大変は面白いと同義」と話す。「あたらしい国で見たこともない人や文化に出会うのは、心の底からワクワクする」。

男性社会のなかで紅一点の存在である茅野みつる・法務部長も、つらかったことは「ありません」と答えた。好奇心旺盛な彼女は、「今でも広報にも、営業にも行ってみたい」と。どんな状況でも楽しむ精神を忘れない。

日本を代表する総合商社として、原点には「商人魂」を据える。同社広報部・栗原章氏は、「売り手にも、買い手にも、世間にも、より善い商いをめざし、社会に対しての責任を果たしていく」と話す。

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