難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の藤田正裕さんが選んだ人生の1本は、「127時間」(ダニー・ボイル監督作)だった。9月16日、代官山T-SITEで上映会が行われた。ALS患者の藤田さんが一日館長となり、絶対絶命の窮地に陥った青年を描いたサバイバルムービーを鑑賞した。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
同イベントは、毎回多彩なゲストを館長として招き、館長が選ぶ人生で思い入れのある1本を上映する。その後、館長はトークショーを行う。16日は、身体の筋肉が徐々に痩せて力がなくなっていく難病ALS患者の藤田さんが館長。藤田さんが選んだのは、青年登山家アーロン・ラルストンの奇跡の実話を映画化したサバイバル・ヒューマン・ストーリー「127時間」。
この映画は、誰も寄りつかない大自然の峡谷でアクシデントに見舞われ、身動きのとれない絶体絶命の窮地に陥った青年が、肉体と精神の極限からいかにして生還を果たしたかを描いている。主人公の心の軌跡とともにリアルかつエモーショナルに綴られている。
上映前、藤田さんは観客に向けてメッセージ送った。
人は皆それぞれ「戦いの時、勝負時」が来る。
人によって、それは生死をかけた戦いの場合もある、、、
その時、自分はどうするだろうか?
突然の事故、、、
「127時間」は多くの人が共感できる、自分との戦いを描いている。
絶望、我慢、平常心、覚悟など。
誰のためだったら耐えられる?親?子供?自分は?
そんな葛藤を戦い抜く姿を自分と映し合わせながらみてほしい。
藤田さんは2010年11月にALSと診断。翌年3月から車椅子生活に入り、2012年1月に人工呼吸器。そして、2013年1月に気管切開し、声を失った。知能は衰えていないので、視線とまばたきでコンピュータを操作する「アイトラッキング(視線伝達機器)」システムを利用して、広告会社でブランド・コミュニケーション戦略の企画・立案を行っている。
2012年9月には、一般社団法人END ALSを立ち上げた。日本を中心に世界中にALSの認知・関心を高めるとともに、厚生労働省や医療研究機関などに対し、迅速な治療法の確立やALS患者の生活向上を働きかけることを目的としている。
9月中は、代官山T-SITEの蔦屋書店2階の映画フロアでは、藤田さんの特設コーナーが設置され、「命を感じる映画たち」と題して難病ALSと闘う広告プランナーのヒロ(藤田さんの愛称)が選ぶ命を感じる映画30本が紹介されている。
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