――仮説検証を通じて自分が大事にしたいことが明確になっていき、その結果協力者とのつながりができてくるんですね。では、そのことは何につながっていくのでしょうか?
渡邉:このプロジェクトが最終的に目指すのはコレクティブインパクトケースという、行政、企業、NPO、基金、市民などがセクターを越え、互いに強みやノウハウを持ち寄って、同時に社会課題に対する働きかけを行うケースの輩出です。そのためにはデモデイなど聴衆の前で自らのビジョンや想いを語り協力を募る場を通じて、常識では手を組むことが考えられないようなチームがSUSANOOの起業家を軸としてできていくことを一つのゴールとしています。
例えば、このビジョン達成のためならばということで、ライバル関係にある企業が手を組んだりするというようなことです。
――そういったコレクティブインパクトを生み出すために大切にしていることはありますか?
渡邉:「Think Big !」というポイントがあります。まず、自分たちが見出したソリューションを、社会のどこにいる誰からぶつけていくと最も効果的に社会が変わっていくのかを考えることが重要ですよね。
次に、他のアクターがどのように動かないといけないのかを考えることも重要です。いくらドミノをうまく倒したとしても、自分たちができることの限界は出てきます。それでも世の中に与えたいインパクトがあるとしたら、他のアクターをどのように動かすのかを考える必要が出てくるのです。
そのためにも、本気でインパクトを出したいソーシャルスタートアップは、「Think Big ! 」にビジョンを語り、伝えていく力が必要になると思っています。
また、課題を機会としてとらえる考え方も重要です。そもそもは同じことでも、問題と言えば問題になるし、チャンスと言えばチャンスになる。社会課題に対してそのようなポジティブなアプローチをとっている方がビジネスセクターも乗りやすく、結果として変化の速度も早まると思っています。
――最後に、起業家たちが自分の本能や直観を基に挑戦するためにSUSANOOのプログラムでは何をやっているのですか?
渡邉:「何がしたいのか?」「なぜしたいのか?」ということを繰り返し問います。そういった問いを続けられることが、自分が何者であるかを自覚することにつながります。それと同時に、ありのままでオッケーですよというメッセージも出し続けます。
それを通じて参加メンバーがそれぞれ本当の自分を見出したとき、社会に大きなインパクトをもたらす人的なつながりも自ずとできてくると考えています。そしてその先に、彼らがつくりたい社会の実現が待っていると考えています。
ETIC. SUSANOOプロジェクト / 佐久間 恒成
1992年生まれ。東京都出身。早稲田大学政治経済学部在学中。教育・福祉分野等への関心から大学2年時より複数のNPOで活動。2015年4月よりETIC.SUSANOOプロジェクトチームに参画。