首都圏に住む大学生たちによる地方創生プロジェクトが注目されています。跡見学園女子大学(東京都文京区)の学生たちは、昨年から今年にかけて「沖縄今帰仁村大学生アンバサダー」に就任。そのイベントが都内で行われました。(野村尚克)
この活動は「沖縄今帰仁村大学生アンバサダープロジェクト」と呼ばれ、地域振興に関心が高く、情報発信力がある首都圏の大学生を今帰仁村の「大学生アンバサダー」に設定するもの。大学生目線で体験し、村民との交流のなかで今帰仁村の課題を理解、提言を行う内閣府「地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金(地方創生先行型) 先駆的事業」による事業です。
跡見女子学園大学から参加した学生は観光コミュニティ学部 塩月亮子ゼミに所属する14名。その他に東京農業大学からも学生が5名参加し、今帰仁村に30日間滞在。4つのテーマ(6次産業開発、観光ソフト分野開発、観光ハード分野開発、土産物開発)に沿った開発アイデアを「観光・移住促進提言書」として発表しました。
発表者のひとり、観光ソフト分野開発に携わった岩崎しおりさん(2年生)は、世界遺産に強い興味があるなかで、世界遺産の今帰仁城跡への来場者が少ないことを知ります。なかでも若者が少なく、そこで若者に来てもらうために、いま注目の「プロジェクションマッピング」を提案。「今帰仁の素晴らしい歴史をアニメ化し、ドラマ仕立てにすることでたくさんの人に来て欲しい」と言います。
観光ハード分野に携わった有路紀恵さん(4年生)は「観光で自立する今泊」を提案。観光案内所と公民館を融合させた施設、歩道と看板の設置、古民家による「古民泊」の3つを合せた提案を行いました。「古民泊」とは古民家に宿泊するもので、有路さんが創ったコンセプト。「古民家の有効利用と今泊の文化に馴染んで欲しい。世界中の人たちに今帰仁村の魅力を知って好きになって欲しい」との思いがあるとのことです。
本プロジェクトの報告会を見た感想ですが、大学生の提案は一つ一つがユニークで、目新しいアイデアもあればシンプルなものもあります。その中には実現性の高いものから低いものがあり、新規性と実現性がトレードオフの関係にあるのがよくわかります。こうした様々な制約があるなかで学生たちが模索しながら創ったアイデアは、地域創生に寄与する貴重な財産です。次はこれらのアイデアの実行と、学生たちがそこに至った理由や背景などを地域自らが理解し、どう活用するかがカギとなるでしょう。
また、学生にインタビューする中で、プロジェクトに参加した学生が共通する感想を持っていることを知ります。それは「今帰仁村のことがとても好きになっている」ということです。
東京生まれの岩崎さんは、「はじめは不安もあったけれど、滞在している間の村の人たちがとても優しかった。今帰仁村は第二の故郷」と言います。また、有路さんは「とにかくとても人が優しかった。素晴らしい自然と今帰仁村の魅力をこれからも伝えて行きたい」と言います。
地方創生が注目され、このような都会の若者を地域に呼ぶプロジェクトが増えています。しかし、訪れた若者がその地域を好きになれずに帰ってくる残念な取組みがあるのも事実です。外に魅力を発信するよりも以前に、訪れた人たちを魅了できない地域に創生することは難しいでしょう。学生たちのこうした気持ちからは、今帰仁村がいまよりもっと創生できることが示されていると感じました。
学生たちが大好きになった今帰仁村について、明日明後日と東京でイベントが開催されています。提案した企画はまだ実行されていないことから見ることはできないものの、会場には学生たちが好きになった村の魅力を誰もが体現できるようになっています。皆さんもぜひこの機会に訪れてみてはいかがでしょうか。
【イベント「今帰仁村絶景CAFE」】
3月4日(金)14:00〜20:00 一般開場
3月5日(土)11:00〜20:00 一般開場
3月6日(日)11:00〜19:00 一般開場
場所:東京都豊島区東池袋 1-8-1 WACCA IKEBUKURO 5F Lupe
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