――台湾に行ってから、2年近く経ちましたね。今日までを一言で表してください。
青山:「暗中模索」ですね。ある程度形ができているビジネスとはいえ、文化も価値観も違う土地ですし、シェアハウスが分かる人もほとんどいなくて、手探りでした。会社の登記?シェアハウスを知らない人はどうやってサイトにくる?毎日入出金管理しないといけないの?ってかそもそもオフィスないじゃん!家賃いくら払えるかな、とか。未経験でも自分で決めるしかなくて、大変でした。エキサイティングでしたけどね(笑)。
また、仕事のやり方も個性も違うメンバーにどう仕事を任せるか、彼らの目標に向けてどう成長してもらうか、ここは本当に試行錯誤しました。この経験を経て「いちメンバー」の視点から「事業統括」の視点に変わったと思います。
――赴任後は何をしてきたんですか?
青山: 2014年10月末から3カ月は、日本で採用したテイと一緒に物件確保と立ち上げに専念しました。年明けに集客に注力し始め、並行して1カ月に1棟以上のペースで立ち上げました。今年1月からは組織づくりと、入居者に最高の体験をしてもらうシェアハウス運営の仕組み構築を意識しています。今では16棟に常時130人程が生活していて、事業としては単月黒字を達成しました。
――何が1番大変でしたか?
青山:組織マネジメントです。メンバーには「これがゴールで、達成のためにこうしよう」って言うじゃないですか。自分で考えた達成手段に自信がなくても、僕が迷ったら皆動けないから、ハッタリでも何でも「この方法が一番だ」と言い切るしかない。
また、僕自身未熟なので、メンバーの能力を判断して給与を決めるのも難しかったです。常に納得してもらえていたかは、正直分かりません。泣きつかれたこともありましたし。
その中で意識していたのはビジネスを成立させ、メンバーにちゃんと給与を支払えるようにすることです。更に、彼らが自分の目標に最短距離で近づけるようにしつつ、事業の未来を見せてワクワクを引き出すこと。自分たちが高い価値を提供し、対価によって自分たちの生活が安定しないと、事業の発展もソーシャルビジネス自体の発展もないと思います。
それに、BHはただ部屋を貸して終わりではなく、「本当の相互理解」を入居者に体感してもらうことがゴールです。そのためには全員が前向きに入居者と向き合ってサポートする必要があります。それを実現できるチームづくりが僕の仕事ですね。だから自分が一番学ばないといけなくて、四六時中、事業やメンバーのことを考えていました。学ぶべきことが多すぎて、いま考えても、事前に準備するのは不可能だったと思います。鈴木(ボーダレス・ジャパン副社長)に言われていた「進みながら学べ。それが一番速い」ということが身に染みて分かりました。
――メンバーの採用では何を大切にしていましたか?
青山:コミュニケーションと相互理解に価値を感じるのは絶対で、お客さんの成長を見たい、お客さんに気付きを創出したいという気持ちも重視しました。特にスタートアップの大切な時期は価値観の共有に時間をかけたくなかったので、事業の魅力を肌で感じている人を理想に置きました。その点、台湾赴任前に採用したテイはBH東京に2年住んで、「この体験を広げたい!」と思っていて、事業の価値を自分の言葉で語れるので非常に心強かったですね。…テイが美人だから採用したとか、そういうことじゃないですよ?(笑)
――青山さん、顔、ニヤけてますよ。
青山:もともとこういう顔です(真顔)。採用したメンバー2人が3カ月で辞める想定外の事態もありましたが、今は5人のメンバーと一緒に、良いチームができてきた実感があります。
――そんな青山さんをメンバーはどう思っているのか、聞いたコメントをお伝えします。まずは、
エレインさん「Aki San is a rather rational and ambitious person in terms of business.」、
ティンさん「As a leader in our office, 青山さん is always considerate to all the members.」、
そしてエマさん「I think Aki is very sweet and friendly person, he will lead other staffs without giving them too many stress.」―絶賛されてますね。
青山:あとで僕が読むと思ってヨイショしたんじゃないでしょうか(笑)。
――続いてダニエルさん「Aki is nice leader, even though sometimes he forget something. :P」。あ、ボロが出てきましたね。テイさんは「物忘れが激しいですが、忙しくても話や悩みを聞いてくれる優しい責任者だと思います」とのことでした。
青山:物忘れ…こっちに来てからずっと言われてます(笑)。シェアハウスを良くしよう、広めようと主体的に頑張るメンバーには、感謝してもしきれないですね。
――入居者の方(BH台湾に入居していた台湾人の方)からはこんなコメントも頂きました。
「最初は英語の勉強ができそうだと思い、ボーダレスハウスを選びました。9カ月ほど住んで、もちろん外国語も上達しましたが、同時に学んだのは異なるバックグランドを持つ人たちとのコミュニケーションでした。違う文化や考え方を体験し学ぶことができ、絶対将来の役に立つと思います!私はハウスメイトを家族のように考え生活をしてきたので、毎日がとても楽しかったです!」
青山:嬉しいですね。この事業は本当に価値があると思います。高いお金で海外に行かずとも様々な価値観、文化に触れられて、家族のような仲間ができる。何も喋らなくても一緒に時間を過ごすのは、飲み会やクラブみたいに楽しいだけの場所で過ごすのとは重みが違いますから。
――台湾にいる間は、公私ともにイベント盛り沢山だったらしいですね?
青山:結婚しましたし、妻の出産もありました。
――本当に色々ありましたね。
青山:はい。妻には本当に感謝しています。泣き言1つ言わずに、一緒に乗り切ってくれましたから。大変な時期だからこそ、かけがえのない家族が台湾にいてくれて、助かりました。子どもは9月で1歳になるんです。一緒にいる時間を少しでも長くしたくて、仕事は優先順位付けを徹底してやることを絞り、遅くても20時にはオフィスを出ています。
休みは3人で台湾の観光地をまわったり、美味しいものを食べたりして過ごしていますね。
――今後は、何をしたいと考えていますか?
青山:台湾で新しいハウスを立ち上げて、より多くの入居者に「相互理解」をしてもらうのはもちろんです。ただし今のBHは交流意欲が高い人が多いので、それほど意欲が強くない人にもアプローチしたいですね。シェアハウスという形に固執せず、例えばこの「コミュニティ」を大学の学生寮等にインストールするというのも1つの手段だと考えています。
そして、BHとは全く違う事業を早く創りたい!戦争は偏見や貧困、資源など様々な要因が絡み合って生じるので、それらを1つ1つ解決していきたいと考えています。例えば資源争奪の中心にある石油などのエネルギーは外せないテーマだと思います。石油などへの依存を減らすことで紛争の原因を1つなくせるはずです。いま目を付けているのは、「圧力」を利用した発電。私は技術に関しては全くの素人ですが、この技術を普及させるために「どの分野で、どんな用途で実用化できるか」を突き詰めて新たなマーケットを切り拓きたいと考えています。
10月には帰国予定なので、台湾と日本を行ったり来たりしながらまずはBH台湾を更に良いチームにして事業を発展させ、引き継ぐことができたら新しい事業を始めたいです。
――ありがとうございました。
次回は、新卒入社2年目、Business Leather Factory社の仲渡春菜にインタビュー予定です。幼い頃から国際協力に関心を持ち、ネパールを始め数々の国へ渡航。国内でも企業やNPO,NGOでのインターンに奔走してボーダレスへ入社。入社1年目の3月からバングラデシュの革工場にQC担当として赴任。パワフルに走り続けてきた仲渡は、何を目指してボーダレスを選んだのか。バングラデシュで何を見たのか。プライベートの意外な顔とともにお伝えします。
聞き手:株式会社ボーダレス・ジャパン 採用担当 / 石川えりか
新卒では教育×ITのベンチャー企業に入社。営業→人事を経て、入社4年目の春、ボーダレス・ジャパンに転職した。1人でも多くの社会起業家を輩出するため、そして生き生きと働く社会人を増やすため、様々な会社を見てきたフラットな目線でボーダレス・ジャパンを伝える。
3度の飯より、ボーダレスとスワローズとロック。ひたすら追いかけて日本中を走り回る変人。結婚3年目、もちろん家庭が一番大切です。時間じゃない、気持ちだ!
【ボーダレス・ジャパンの社員紹介記事一覧】
★「起業したい」だけだった僕が児童労働根絶に奔走する理由(中村 将人)
★「有機農業で脱・貧困」 社会変革の旗手、ミャンマーへ(田崎 沙綾香)
★「支援」から「ビジネス」へ 最貧国で奮闘する25歳(仲渡 春菜)
★就職先は「ソーシャルビジネス」 社会起業家を志す理由(松浦 由佳)
◆「社会問題解決を仕事に」
ボーダレス・ジャパンでは、社会問題を仕事として解決していきたい、本当に社会を変えるビジネスをつくりたい人を新卒・中途ともに通年採用中。
あなたがビジネスの実力をつけ、入社後即~入社2年後の間に自分で事業を立ち上げられる環境を用意しています。
ソーシャルビジネスに共感する志を持った仲間、独自のノウハウ、事業展開に必要な資金が集まったこの場所で、「この問題をなんとしても解決したい」という強い思いを成し遂げませんか?
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