タイトル:電園復耕~大通りからそれて楽しく我が道を歩こう

なぜ人を押しのけて狭き門に殺到するのか?自分を愛し迎えてくれる人たちとの人生になぜ背いて生きるのか?
この書き下ろしは、リクルートスーツの諸君に自分の人生を自分で歩み出してもらうために書いた若者のためのお伽話である。(作・吉田愛一郎)

◆前回はこちら

◆動物農場
「運動の指導と扇動をした社会主義者はどうなったんですか」とまた啓介が聞いた。
「アカの奴らは一網打尽よ。全員が死んだって食糧生産には関係ない。治安維持法って法律を作って片っ端から捕まえて拷問の末、重罪と死罪よ」
「酷いなあ」と啓介が慨嘆した。
「農地委員会ってまさか今の農業委員会の事じゃねえよな」と敏夫が言うと
「そのまさかよ」末広が言った。
「でも今は小作人なんていないよな。全員地主だよな」敏夫が啓介の方を見て言った。
バースデーも啓介を見上げた。

啓介は「小作人の権利を守る運動はどうしたんですか」と末広に聞いた。バースデーが末広を見上げた。
「ジョージ・オーウェルって知ってるか」
「知ってますよ。俺、高校の時に習った。イギリスの小説家ですよね。『1984年』なんて有名ですよね」
「アメリカの高校も捨てたもんじゃねえな。そう、こないだ村上春樹が『1Q84』って小説を発表したよな。あれがオーウェルの1984をもじったものだとは気が付かなかったか」
「知らなかった」「知らなんだ」
「そのオーウェルが『動物農場』って言う小説も書いてるんだ」

「俺知ってます。アニマルファームですよね。牧場主の搾取に立ちあがった家畜たちが農場主を牧場から追い出して、自分たちで農場の経営を始めたって話ですよね」と啓介が言った。
「そうだ。牧場革命のリーダーはナポレオンとスノーボールという二匹の豚だった。ナポレオンはスターリン、スノーボールはトロツキーのことだと思う。共産党国家に君臨した後、二匹が内輪もめを起こして結局ナポレオンが政権の座に就いたって話よ」
「だからどうしたんですか」敏夫が言った。
「そのとおり、それで終わっちゃったんじゃ何てことはねえよな」
「ねえです」と二人。
「ここからが大事なんだ」末広が大きく息を吸った。末広の腹が大きく波打った。
「しかし農場主が出て行っても少しも生活は良くならねえ。良くならねえどころか、どんどん過酷になって行く。そしてある夜、労働者の動物は、ナポレオンが旧農場主の家で人間のようにふてぶてしく酒を飲んで寛いでいるのを見たっていう落ちだ」
「どこの社会主義国家の元首も豚のナポレオンみたいだってことですね」敏夫がため息交じりに言った。
「で、農地委員会はどうなったんですか」啓介が聞いた。

文・吉田愛一郎:私は69歳の現役の学生です。この小説は私が人生をやり直すとすればこうしただろうと言う生き方を書いたものです。半世紀若い読者の皆様がこんな生き方に興味を持たれるのであれば、オルタナSの編集スタッフにご連絡ください 皆様のご相談相手になれれば幸せです。

◆この続きはこちら

[showwhatsnew]

%e3%82%a4%e3%83%99%e3%83%b3%e3%83%88%e3%83%90%e3%83%8a%e3%83%bc