タイトル:電園復耕~大通りからそれて楽しく我が道を歩こう

なぜ人を押しのけて狭き門に殺到するのか?自分を愛し迎えてくれる人たちとの人生になぜ背いて生きるのか?
この書き下ろしは、リクルートスーツの諸君に自分の人生を自分で歩み出してもらうために書いた若者のためのお伽話である。(作・吉田愛一郎)

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◆トニーとダン

クロコダイルドリンクとエクスクルーシブ(総代理店契約)をしなければならない。エクスクルーシブとかソールエージェントなどと言う言葉はこの二、三か月で覚えたが、売れなければどうしようもない。売るのと買うのを一度にしなければならない事は教えられたとうりだ。このダブルプレーの教えは絶対守る。「売りながら買う。買いながら売る・・・」ダンは何回も繰り返した。

「売る?どうやって?」
ダンの頭の中では自分がクロコダイルドリンクのサンプルを持って、運動具店や酒屋を一軒一軒訪ねる姿が浮かんだ。体力や根性ではどのセールスマンにも負けない。でも注文を取ったってクロコダイルドリンクが販売権をくれるかどうか分からない。商品がない事務所に鳴り響く客からの怒りの電話のベルが耳鳴りのように聞こえてきた。

「買えなければどうする?」という言葉は脳裏に契約を断られた自分が、クロコダイル社のビルからすごすごと出てくる姿が浮かんできた。「どうしたの」マームの声がした。「nothing」と答えると「ナッシングじゃないでしょ」とマームは言って隣のダッド、トニーを見た。

「なぜハワイに寄らなかったんだ」の優しくて低い声がした。ダンは見回したが、もちろん誰もいない。疲れてウトウトしてしまったのかもしれない。涎を拭って頭を激しく振った。「しっかりしろよダン」ダンは声に出して言った。

「Pull yourself together Dan」父親であるトニーの声を思い出した。すると彼の脳裏には派手にデザインされたローヤルコーラの運搬車がジェファーソンハイツに入って行く光景が浮かんだ。そうだ。ダッドはローヤルコーラの人間なんだ。スポーツ、スポーツと思っていたから一言もダッドに言わなかったがダッドは飲み物屋なんだ」。ダンは受話器を取ってすぐホノルルに電話した。プロ野球を止めたことと、しばらくステーツのベースボールを見て回ってみようと思っている事などは手紙で書いたが、アメリカからの帰りにホノルルに寄らなかったことを今更悔いた。

「ハロー」トニーの声がした。ダンはただ「ダッド」と言った。「ワットキャンアイドウ?」
ダンは父親にアメリカのプロスポーツとスポーツ産業を見て回ったこと、そしてその結果としてスポーツビジネスをやろうと思っている事、そしてクロコダイルドリンクの事を話した。

「クロコ?」トニーは語尾を上げた。「それはスポーティンググッズではない。イッツノットユワ ビジネス。イッツマイビジネス」
「それならダットがやってよ。僕はセールスとプロモーションだけするから」
「バット」トニーは言った。「クロコのような大きな会社が我々に販売権をくれるだろうか?」
「だからダットが必要なんじゃない」ダンは打席に向かうピンチヒッターを励ますように言った。

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