タイトル:電園復耕~大通りからそれて楽しく我が道を歩こう

なぜ人を押しのけて狭き門に殺到するのか?自分を愛し迎えてくれる人たちとの人生になぜ背いて生きるのか?
この書き下ろしは、リクルートスーツの諸君に自分の人生を自分で歩み出してもらうために書いた若者のためのお伽話である。(作・吉田愛一郎)

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◆スペーストレーナー

春のシーズンだという事や、果たして大学のフットボール連盟に加入させてもらえるかも不確実だったから、月曜日を除いての毎日の練習も強制的ではなく、しかも学生ならだれでも参加できる雰囲気になっていたから、時々初めて見る学生も含まれていて、チームは体育会のそれとは程遠かった。もちろんヘルメットやパッド類もつけず、激しい当りもなく、怪我人も出なかった。クロコダイルドリンクはいつもベンチ横に置かれ、選手たちは自由にそれを飲んだ。

時間に余裕があるキッカーとパンターの二人が、揃いのTシャツをデザインして、皆は徐々にそれを着るようになった。シゲが吉田に差し出したT シャツの胸にはImigrantsとプリントしてあった。吉田が言った「mが一つ足りないんじゃない?」移民と言う意味のイミグランツのスペルはimmigrantsでシャツのプリントは明らかにミスプリントだった。

「有難う、後でマジックでmを書きたしておくよ」吉田は言った。そうして全員がマジックインキでmと書き足された揃いのTシャツを着てグランドに集合するようになり、バラバラでマルチフォームと呼んでもおかしくない皆の服装が、ユニフォーム化して皆の結束が強くなったような気がした。

吉田はTシャツはともかく、移民と言う意味のイミグランツというクラブ名は気に入った。俺も移民みたいなものだ。彼らだって、統制がとれた体育会の選手から見れば難民のあつまりだ。そんな非正規軍が秋のリーグ戦にどれだけ通用するか楽しみだ。

やがて梅雨がやって来て、トレーニングは室内で行われると見学者もやって来て、一緒にアメリカのプロであるNFLのフィルムを見るようになった。女性も参加するようになってその内の何人かはトレーニングの手伝いをするようになった。ある日、あのマックキンケードが前触れもなく、クロコダイルドリンクの袋を持って体育館に現れた。

‘Hi Dan long time no see you.’
‘Hi Mac What has brought you here?

「どういう風の吹き回しだい?」
「新チームの為にクロコダイルドリンクの差し入れだよ。これからは欲しいだけ供給する」
「マック、君がそんなに親切だとは知らなかった。有難う」
「ところでダン、このチームで新しい筋力トレーニングを採用しないか?」
「益々の親切ありがとう。おれはトレーニングのエキスパートじゃないから、教えてくれるものはなんでも取り入れるよ。でもその見返りは
なんだい。ミスタービジネスマン?」
「ここに4人のフィジカルトレーナーを送る」
マック キンケードは命令口調で言った。

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