タイトル:電園復耕~大通りからそれて楽しく我が道を歩こう

なぜ人を押しのけて狭き門に殺到するのか?自分を愛し迎えてくれる人たちとの人生になぜ背いて生きるのか?
この書き下ろしは、リクルートスーツの諸君に自分の人生を自分で歩み出してもらうために書いた若者のためのお伽話である。(作・吉田愛一郎)

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◆前半終了

イミグランツのフィールドに戻ると選手を集めた。そのなかに黒い学生が一人いた。聞くと今日から練習に加わったサムというアメリカ人だった。サムはアメリカのハイスクールでフットボールのレシーバーをやっていたと言い、素晴らしい身体能力をもっていた。ダンはウキウキしてきた。

第一試合は帝都大学のスタジアムで9月の第一週の日曜日に行われた。夏の暑さが続いている雲一つない空に帝都大学ブルズのキッカーが蹴ったフットボールが飛んだ。イミグランツのレシーバー奥田がそれを胸で受けて、敵陣に向けて走り出したが、五六歩進むとブルズの選手に跳ね飛ばされた。誰が見ても力の差は歴然だった。

そこから第一プレーが始まった。自軍はショットガンというパスしか投げられないフォーメーションを布いて、センターが股の間から後ろに投げてくるボールをQBが受け取って、敵陣に走り込んでいる味方のレシーバーにパスを投げる作戦だった。センターから出たふらふらボールをQBがやっと取ってレシーバー達を見た。

サムが敵陣深く入り込んでいたので、にわかごしらえのQB村山はやり投げの様にボールをサムに投げた。サムはそれをジャンプして受けると難なくエンドゾーンに駆け込んだ。6点。木村がキックをどうにか決めて7点。

次は帝都の攻撃だ。QBから渡されたボールを帝都のランナーは胸に抱きかかえ自分からイミグランツのデブたちに突進してくる。デブもそれを必死にこらえ、相手の前進を3ヤードくらいで押さえている。しかしまた3ヤード。さらに2ヤード。もう一押しの3ヤードでファーストダウン。ダンはディフェンスのキャプテン金井に「押されてもいい」こんな調子で押されていろと言った。

長い時間押されて最後にタッチダウン6点を失う。キックせずに2点狙いで来た。成功だ。8点失って味方は逆転された。今度はイミグランツの攻撃だ。パスを投げる。バスケットボールをやっていた長身の矢田に山なりのボールを投げる。矢田はバスケットボールのリバウンドを取るようにジャンプしてそれを取ると二人にタックルされたが15ヤードのゲイン。

次のプレーでボールはサムに投げられ、サムが取った。そのままエンドゾーンに走り込んでタッチダウン。そしてキックして7点。それに対して相手はじわじわと確実に前進して8点、こちらはさらに7点で、あちらはさらに8点取ってくる。

21対24で前半が終わる。ハーフタイムのロッカールームで疲れ果てたようなディフェンスの金井がダンに言った。「これじゃ42対48で負けますね」

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