オルタナS編集部はこのたび、社会の広告社と共同で大学生向けにソーシャルイシューの現場を体感する「ソーシャルステイ」を行いました。今回のステイ先は、介護や保育や障がい者支援を展開している社会福祉の現場。公募で集まった大学生たちは、社会福祉の領域で活躍する若手リーダーのもとを訪れ、密着取材を実施しました。その模様をお伝えします。
「社会福祉HERO’S TOKYO 2019」プレゼンテーターに学生ライターが会いに行った! 連載⑦南山城学園 佐藤走野さん『福祉の力で地域コミュニティを強く、しなやかに』
社会福祉の現場でさまざまな挑戦をしている若手スタッフたちが登壇するイベント「社会福祉HERO’S TOKYO 2019」(12/10開催)に登壇する7人のプレゼンテーターに学生ライターが密着取材。その第7弾は、立命館大学の一瀬優菜さんが、社会福祉法人南山城学園(京都)で働く佐藤走野さんに会ってきました。
みなさんは「誰にとっても生きがいのある世の中」を考えたことはありますか?少子高齢化が進む日本社会では、地域コミュニティの強さは、生活の豊かさだけでなく、自然災害時の対応にも影響します。
どのコミュニティにも乳幼児や高齢者、障がいのある方などが共存しています。地域に住むすべての人たちに、より良い生活環境と「信頼」を提供し続けるヒーローに話を聞きました。(一瀬 優菜)
京都府城陽市を拠点とする社会福祉法人南山城学園(みなみやましろがくえん)。ここでは、乳幼児や高齢者、知的障がいのある方などを対象とした多くの事業を経営しており、その事業所数は38か所にもおよびます。
「私は、幼少期から20歳まで児童養護施設で過ごしました。自分の成長に寄り添ってくれた「社会福祉」に対し、恩返しがしたい。何でもします」――そう話すのは、南山城学園 障害者支援施設「魁(さきがけ)」の佐藤走野(そうや)さん(32歳)。
佐藤さんが所属している「魁」では、障がいのある方がたが「地域で働きながら暮らすこと」を目標に、就労スキルの向上や仕事をするうえでの責任感について学び、やりがいにつなげる支援を行っています。この施設には、就労を希望する障がいのある方60名が入所され、約20名の方が通所などにより支援を受けられています。
「魁」では、ADL(日常生活動作)低下予防プログラムでニーズに寄り添った支援活動を行います。「生きがい」を「働くこと」によって生み出せるよう、施設利用者の個別ニーズに合わせた活動内容と仕事環境を提供しています。他にも、子ども食堂による共生共助の地域づくりや、就労継続支援B型の平均工賃の向上を目指した支援などの取組を行っています。
「できないところを見ていても仕方がない。その人の優れたところが、もっと優れるような環境を提供したい」と話すのは、佐藤さんと一緒に働くスタッフのFさん。
地域との共生共助を育むため、ほかにもさまざまな事業を展開しています。障害者支援施設「凛(りん)」では、「定番の活動を見直し、日中活動を充実させること」を目標にしています。施設利用者の「仕事がしたい」という気持ちに応えるため、働く場として、農地やカフェを展開しています。地域で育てた無農薬野菜をカフェに卸したり、京都市内や各所マルシェなどで販売したりしています。
これらの支援活動は、人と人との相互関係の上で成り立っています。佐藤さんは、施設利用者と向き合うなかで大事にしていることがあります。それは「理由を説明すること、理由を聞くこと」。
施設利用者にとって、自分の行動の「なぜ」を知ることや、それを他人に知ってもらうこと、そして話を聞いてもらうことはとても大切です。佐藤さんの今までの経験から、大切にするようになったといいます。
佐藤さんは、実践的に利用者の方とも向き合っています。
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