「年齢的に社会課題と長く付き合うのはぼくら世代。今のうちからSDGsを理解しておきたい」--こう話すのは中学2年生の加藤路瑛(じえい)さん、2006年生まれの13歳。まだ表情は幼いが、会社を起業した「社長」である。(オルタナS編集長=池田 真隆)

加藤さんは起業するにあたりクラウドファンディングで115万円の資金調達に成功した

年齢を理由にやりたいことをあきらめるのはおかしい。加藤さんは12歳のときに、クリスタルロードを立ち上げ、小中高生がやりたいことに挑戦できる環境づくりを行っている。18歳以下専用のクラウドファンディングサイト「クリスタルロード」やSNSで募った小中高生とキャリアマガジン「TANQ-JOB」を作っている。

最近では、SDGsに関心を持ち、クラウドファンディングサイトを通して中高生にSDGsを周知する取り組みも始めた。

パートナーに選んだのは、加藤さんと同じ中学生が代表を務める団体「Sustainable Game」。同団体では、中高生向けにSDGsの啓発を行なっている。

Sustainable Game代表の山口由人さん(左)との中学生コンビでSDGsを発信していく

同団体でクラウドファンディングに掲載しているすべてのプロジェクトに対してSDGsマッピングを行う。マッピングとは、関係している目標を選ぶこと。各プロジェクトページにSDGsの目標ごとに作成されたピクトグラムを貼り付ける。

プロジェクト起案者やサイトを見た人が、プロジェクトの中身だけでなく、SDGsの目標についても知るきっかけをつくった。現在サイトは改良中で、今年の年末から本格始動する予定だ。

中高生向けのキャリア開拓につなげるウェブメディアTANQ-JOBも運営している。記事執筆に興味ある人はいないかとSNSで呼びかけたところ6人が集まった。最年少は小学4年生で、最年長は高校2年生、文字通り若い編集チームはチャットアプリを使って場所にこだわらずミーティングを行なっている。

企業理念である、「子どもを理由に今をあきらめない」をタグラインに持った紙媒体の発行も考えている。挑戦する子どもや尊敬する社長などを紹介していきたいと言う。

販売方法は、ビッグイシューを参考にした。18歳以下に300円で仕入れてもらい、好きな値段で販売してもらう。売り上げの10%を、子どもの貧困支援を行う団体へ寄付する考えだ。現在、この紙媒体の編集メンバーを学生・社会人問わず募集中だ。

起業した経緯は、「好奇心」と言い切る。加藤さんにとっては、幼少期に母親がよく事務所に連れて行っていたので「働く」ことは身近だった。

あるとき親に買ってもらった化学を学べるカードゲームの表紙に「小学生で起業したスーパー高校生社長考案」と書かれているを見つける。このことがきっかけで、加藤さんも自分で会社をつくりたいと思い立った。

「会社経営は面白そうだと思った。やりたいと思っているだけでは意味がなくて、まず行動を起こそうと決めた」

会社を登記する際に必要な印鑑証明は15歳からではないと作れないため母親に助けを借りた。母親が代表取締役だが加藤さんが「取締役社長」だ。加藤さんはこれを「親子起業」と名付ける。

中学校に通っているが、頭の中はビジネスでいっぱい。そのため、「同世代で話が合う友達がいないんです」と明かす。

打ち合わせなどで一回り以上上の大人たちと話しているときが「一番楽しい」と話す。いつかは「自由」をテーマにした学校を作りたいし、数万人の子どもを集めるSDGsイベントも企画したいと夢を語る。

クリスタルロード


【編集部おすすめの最新ニュースやイベント情報などをLINEでお届け!】
友だち追加