今年で創刊15周年を迎える「ヨコハマ経済新聞」。NPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボが運営しているニュースメディアだ。お店やイベントの紹介、新商品の情報などを紹介している。決して事件や事故などの暗いニュースは扱わない。今回はそのヨコハマ経済新聞の編集長、杉浦裕樹さんの事務所を訪れ、取材を行った。(武蔵大学松本ゼミ支局=榊原 大喜・武蔵大学社会学部メディア社会学科2年)

ことの始まりは、2000年に立ち上がったシブヤ経済新聞だった。杉浦さん自身が欲しい情報にたどり着けないという違和感を抱えていたときに、「地元特化型メディア」に出合った。「これが知りたかったんだという情報がたくさんアップされていた」と振り返る。

興味を持った杉浦さんは早速、シブヤ経済新聞を運営している西樹(にし・いつき)さんに直接電話をし、「ちょっと話を聞かせてくれないか」と頼んだ。そうして、杉浦さんに馴染みのあった横浜をターゲットにしたメディアを立ち上げようと考え、2004年にヨコハマ経済新聞を創刊した。

当時、欲しい情報を見つけるのはなかなか難しかったという編集長の杉浦裕樹さん。

取材をしたり記事を書いたりするのは面白かった、と杉浦さんは語る。「自分らが面白がってやるものだから目的はお金ではない。時間や労力はかかるがそれでもいいや」という感覚で始めた。

横浜で町歩きをして、自分たちがシェアしたいものを書くことで、地域の変化を伝え続けた。今は15周年を迎え、メディアに関わるスタッフや取材先、PV数なども徐々に増加している。

認知度も高くなっているヨコハマ経済新聞だが、WEBメディアでの広告収入はあまり無いそうだ。通常、フリーペーパーや雑誌などは、取材先を宣伝して収益を得るビジネスモデルだ。しかし、ヨコハマ経済新聞は、自分たちが興味を持ったものを自ら紹介するスタイル。広告費が入らないどころか、むしろ取材費がかかってしまう一方だ。

それでも継続的に活動を続けられる理由を杉浦さんはこう語る。「取材先との関係が『お金』から生まれたものではないからこそ、『人間的なつながり』が持てている」。

ビジネスとして始めたわけではなく、自分の興味に従って、面白いと思うものを好き勝手に発信してきた。これこそがヨコハマ経済新聞の大きな特徴である。「人間的なつながり」。

それはメディアにとっては大きなリソースであり、新たな活動の原動力になると強調する。人を大切にしてきた杉浦さんだったからこそ、できたことである。




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