オルタナはこのほど、別冊「72組織 わがパーパス」を発行しました。省庁・自治体・株式会社・非営利組織(大学や病院を含む)など72組織のトップに、パーパス(存在意義)を執筆していただきました。その一部をご紹介します。

山岡 憲之・山岡白竹堂代表取締役

創業300年、「京扇子」から新しい風を送る

家業の扇子屋を継ぐと思っていなかった学生時代。私は無鉄砲に実家を飛び出し、新聞配達をしながら暮らしていたことがあり、自分の将来をおぼろげに考えて過ごしました。

そのころから、私はフォークソングが大好きで、ギターと歌声で人を勇気付ける多くのミュージシャンを尊敬し、自分は何をするべきか、人生をどう生きるべきか模索している毎日でした。

当時から扇子業界は、職人不足に加え商品の需要が減っていたので、父親は私に家業を継げとは口にしませんでした。なんとなく手伝っていたのですが、そうするうちに私がこの扇子屋の10代目にあたること、また30数年後には創業300年を迎えることを知りました。

一体これまで、どれくらい多くの人が、実家の扇子づくりに携わり、技法を伝承してきたのだろう。そしてそれは何のためだったのだろう。私は、このとき初めて、今まで考えたことがないベクトルで家業を見つめ直しました。

古(いにしえ)から涼を取る道具として用いられてきた扇子は、材料が多様になったとはいえ、形や大きさ、作り方は何百年も昔から何も変わることはありません。

扇子づくりには、竹を切るところから仕上げまで、約88工程あると言われ、何人もの職人の手を通って出来上がっています。骨づくり、紙、上絵(うわえ)、仕上げ、などそれぞれが熟練された分業です。

材料に用いるのは3年~5年の若い竹。薄く細く加工し、親骨には彫り細工や塗工程を施し、「要(かなめ)」の部分で束ねます。扇面の紙は、芯紙を表と裏から皮紙で挟んだ3枚合わせのものを使用し、その3枚合わせの紙を扇面型に切り抜き、絵師が1枚1枚上絵を付け蛇腹状に折っていきます。

…続きは「alterna別冊 72組織 わがパーパス」をご覧ください。

株式会社 山岡白竹堂




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