地域に眠る名品やそれを支えるストーリーを表彰する「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」の募集が始まった。実行委員長を務めるUmari代表の古田秘馬氏は、売れる名品には6つの特徴があると言い切る。古田氏が「黄金の法則」とまで呼ぶ、中身を聞いた。(聞き手・オルタナS副編集長=池田 真隆)

六本木農園や丸の内朝大学など、さまざまなコミュニティ活動を企画してきた古田氏

六本木農園や丸の内朝大学など、さまざまなコミュニティ活動を企画してきた古田氏

——売れている名品には6つの法則があるとのことですが、どのような法則でしょうか。

古田:売れている・選ばれている商品には、6つの特徴があります。それを、われわれは黄金の法則と呼んでいます。1つ目がシンプル。わかりやすいということが非常に重要になります。どんなに良い商品でも、わかりにくいと伝わっていかない。

2番目がミスマッチ。そこに意外性があること。例えば昨年度の受賞者でいうと、国産の米と野菜でできた「おやさいクレヨン」。「野菜とクレヨンって?」となる。そこに意外性がないとみんなスルーしてしまうわけです。たとえば、塩スイーツもそうだと思います。塩なのに、スイーツ?となる。

3番目がアクション。参加・購買できるということ。良いものだとしても、誰も買わないと意味がない。

そして、4番目がフォトジェニックであること。SNSの時代なので、写真映えしないと。なかなか写真じゃ伝わりませんというものだと拡散しません。特に言語を超えて、世界に広がるものはフォトジェニックである。

そして、5番目がシェア。思わず誰かに言いたくなる。これっていいね!お米とお野菜でできたクレヨンだよ!と。

そして、最後がビジョン。この6つのファクトをちゃんと抑えているものが、実は売れる・選ばれる要素になりますね。

――大学生や20代の社会人など、ミレニアル世代は都市よりも地域に興味を持つ傾向にありますが、この背景には何があるとお考えですか。

古田:モノがある程度そろったとき、人は物語を求めるようになる。物語とは何かというと、モノが生まれてくるプロセス。例えば、農作物ではなくて、農業そのものだったり、例えば、最新の家ではなく、古民家をリノベーションする過程だったり。

都市は高度に効率化された空間。つくっていく過程では、都市と地方の側面が両方あった。もともと人には都市と地方の両方の感覚が必要。しかし、都市が完成して、都市の中だけで生まれ育ってきたら、みんな地方の感覚が足りなくなる。

だから、都心部のOLはヨガや農業をやりだす。ただ、本当に農業をやりたいわけではなく、土に触れることを求めている。でも、田舎の農家はヨガなんてやらない。

——ファンづくりで重要なことは何でしょうか。

古田:コンテンツではなく、コンサプトで人を集めること。基本的に人の行動って、コンセプトで動くわけなのです。例えば、ブータンが世界一幸せの国だから、行ってみようとなる。ブータンの料理が美味しそうだから行くわけではない。このように、人が行動する動機は、コンセプトだと思っています。

——地域に関心がない人たちへの有効なアプローチ方法はありますか。

古田:よく無関心な人にどうやったら伝わるのかと相談を受けますが、彼らが何をしているのかというと、同じものを同じように伝えようとしている。例えば、これを(携帯を取り出して)相手に伝えようとするときに、携帯をすでに持っている人からすれば、いくら「スマフォだよ!すごく便利だよ」と言っても、興味ない人には興味ないわけです。

でも、たとえば、カメラなんだよねと伝えたら、「あ、カメラなら興味ある」と答えるかもしれない。これは実は健康チェックできるんだよと伝えたら反応するかもしれない。

田舎だとか、地域には反応しなくても、起業しやすいとか病気が治るよとか、結婚相手が見つかるよだったら、興味を持つかもしれない。全員が地域に興味があるわけではないんです。自分の興味のあることが実現できるのが、地域かどうかが重要。いま、地方創生という文脈に、ちょっと違和感を持っているのは、地方創生という言葉ばかりを繰り返ししているから。

サーフィン好きの人にとっては、地方創生は、まったく興味がないけど、最高の波があって、毎日波に乗れるってだけでもその地域に住みたいと思うはず。

地域の人たちが自分たちの価値を、あらゆる角度で見ていくことが大切。外から見たり、疑ってみたり、まったく違うように見たり。

――今回、実行委員会には国内大手の24社が集まりました。期待していることは何でしょうか。

古田:やっぱり、企業には、ガラスの天井じゃないけれど、壁がある。自分たちの本業だけでは解決できない課題があり、そのような輪郭の淵がある。そこに、次のオルタナティブといえる解決法がある。

——オープンイノベーションのようなことですか。

古田:まさにそうです。それを企業が責任を持ってやることが大事。オープンイノベーションの考え方はぼくも好きで、今後ますますそのような動きになっていくと思いますが、オープンイノベーションだからねっていって、そのままなにもリスクも含めて、言いぱなっしで終わることが多い。言っただけで進まないのは意味がない。

今年度では、各社が責任を持って、やりとげることを期待しています。

・ふるさと名品オブ・ザ・イヤーはこちら

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