先日の10月10日土曜日と11日の日曜日、福井県小浜市で海洋ゴミの資源化に取り組むアノミアーナさんとのご縁から、福井県海浜自然センターの秋イベントの一環として、「海のプラスチックをアクセサリーにカエル!」と題したワークショップを行いました。(高柳 豊=カエルデザイン クリエイティブディレクター) 

心配した台風の影響もほとんどなく、午前中は海岸で大量の海洋ゴミを拾い、その中からアクセサリーに加工したい海洋プラスチックを選別した洗浄、カット。午後からはそれを板に加工して、アクセサリーの形に切り出してコーティング。

参加者の皆さんとても楽しんで海洋プラスチックから素敵なアクセサリーを作ってくれました。

福井県海浜自然センターの目の前の海岸(食見海水浴場)で海洋ゴミなどの回収を行うワークショップ参加者

回収した海洋プラスチックを洗浄し、熱加工して板にした後、アクセサリーの形に加工する

2日間、若狭の海でみんなと海ゴミを拾い、海の傍でワークショップを行い、夜は波の音が聞こえる海の傍の宿で過ごし、日曜日の朝は、宿の目の前の海岸で、カエルデザイン with REHASとしてともに海洋プラスチックのアップサイクルに取り組む仲間とプラスチックゴミを拾いました。

宿泊した小浜市の宿の目の前の志積海岸で海洋プラスチックを拾う

2日間、ずっと波の音がしていました。

不思議なことに、超が付くほどの不眠症の僕が、土曜日の夜も日曜日の夜もぐっすりと眠れたのです。

波の音は良い子守唄だったのかも知れません。福井の海から金沢に戻って、波の音の聞こえない家で眠る時も、目を瞑ると頭の中で波の音が聞こえてきました。

布団の中で、波が引いて寄せる音を思い出してそれに合わせて呼吸をする。吸って吐いて、吸って吐いて。波のリズムで呼吸をすると心が落ち着くのです。

地球の歴史は46億年。海が誕生したのは44億年前だと言われています。高温でドロドロだった地球の表面が2億年かけて冷えて、水が存在できるようになり海が生まれました。以来、44億年、海は休むことなく波を寄せ続けています。

世界中、どこの海でも打ち寄せる波の数は1分間に18回だそうです。そして不思議なことに、人が幸せを感じている時や安静時の呼吸の回数は1分間に18回らしいのです。

海を見て、波の音を聞いて、自然と波のリズムに呼吸を合わせる。地球のリズムと同調する。地球は生きているし、人は生かされているのだと感じます。

心理学的には、海に行くという行動は「胎内回帰」という願望の表れなんだそうです。海は全ての生命の原点だし、波の音は母の胎内で聞いていた音に近くて、母の羊水の中で過ごした記憶、温かく包まれているという「リラックス」の状態を知らず知らずのうちに求めているんだそうです。胎内回帰は原点回帰、気持ちをリセットすることにつながるらしいのです。だから海に行くと気持ちがなんだかスッキリするのでしょう。

海の歴史は悠久で、その存在は雄大で、海から全ての生き物の祖先が産まれて来て。それに比べて人間なんてちっぽけで、人間の一生もあっと言う間で。そんな人間が、プラスチックという便利だけれど自然にとっては厄介なモノを生み出しました。プラスチックが汎用化されてせいぜい60年。

毎年800万トンものプラスチックが海に流れ出て、2050年には海の中のプラスチックの量が魚の量を上回ると言われています。

僕たちカエルデザインはそれを少しでも遅らせたい、食い止めたいと、障害を持つ仲間たちと日々活動しています。そして日本全国、世界各地でビーチクリーン活動を行う仲間たちがいます。

クリーンビーチのイベント活動に参加しなくても、友だちと、家族と、仲間と、たとえ1個でも海洋プラスチックを拾う。使い捨てのプラスチック製品は買わない、使わない、捨てないことと同時に、流れ出てしまった海洋プラスチックを拾うこと。母なる海を守るには、この2つの方法しかなくて、それは私たち人間にしかできないのです。

カエルデザインHP

高柳 豊
エシカル、サスティナブルをテーマに活動するクリエイティブチーム、カエルデザインのクリエイティブディレクター。海外向けコンピューターシステムのシステムエンジニアを経てカルチャー教室で様々な文化教室の企画運営などを経験。その後、フリーランスになってから地域通貨の発行・運営、雑誌の出版編集、地サイダーやクラフトチョコレートなどの加工食品ブランドの立ち上げなど、商品企画、ブランディング、マーケティングなどを手掛けている。企画からデザイン、コピーライティング、写真撮影などクリエイティブ全般に携わる。
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