お笑いジャーナリストのたかまつななさんは、貧困や地球温暖化、児童労働などの社会問題をお笑いで発信している。自ら勉強会を主宰し、学校や企業などでSDGs(持続可能な開発目標)や政治教育に関する出張授業も行う。2016年から2万人以上を動員してきた。「笑って、学ぶ」をコンセプトに行動する人を増やしていく。(聞き手・オルタナS編集長=池田 真隆)

お笑いコンビの「エルシャラカー二」との掛け合いでSDGsを紹介。写真はカンロ社=2018年2月26日

――2016年から政治教育などをテーマに出張授業を行ってきましたが、2017年には「笑って、学ぶSDGs」という名称の勉強会も主宰し始めました。SDGsに関心を持った経緯は何でしょうか。

JICAの「なんとかしなきゃ!プロジェクト」の一環で、マダガスカルなどを訪れ、課題の現場を見たことで、企業がSDGsについて取り組む重要性について理解しました。通っていた慶応義塾大学大学院では、蟹江研究室SDGsプラットフォームがあり、もともとSDGsについては気にはなっていました。

SDGsについての勉強会を開いてほしいという依頼も増え始めたので、これを機に始めてみようと思いました。

――たかまつさんが主宰する「笑って、学ぶSDGs勉強会」では、お笑い芸人さんとの掛け合いで、17の目標を紹介します。勉強会では、1つの目標ごとにボケたコメントやツッコミが入るので、お笑いが起きます。伝え方で工夫したことは何でしょうか。

SDGsの目標は、「貧困をなくそう」や「人や国の不平等をなくそう」などの概念が多く、説明することがどれも難しい。17の目標全てを紹介しないという考えもありましたが、それでは意味がないと考え直した結果、大喜利形式で見せていくことにしました。

カンロ社の三須和泰社長は、「国際社会はパリ協定を機に脱炭素社会へ動いている。SDGsも同じで、社会的課題を解決するために企業に期待されている役割は大きい」と述べた

――独自に考えた「SDGsババ抜き」も好評だそうですね。

会社のメンバーで考えたのですが、実は企画したばかりの頃は本当に面白くなかったです(笑)。指示カードを入れて、学びの要素を入れたのですが、よけいかったるくなり、無関心な人でも楽しめるようにゲーム性も取り入れました。でも、1度ゲームするごとに30分ほどかかってしまい、改良に改良を重ねていまの形になりました。

ババ抜きには、さまざまな指示カードがあり、引いた人は必ず実行しないといけない

――たかまつさんは、お笑いを通して社会問題を発信することを掲げていますが、日本ではお笑い芸人が社会派な発言をし過ぎてしまうと、「意識高い系」などと揶揄されてしまうことはありませんか。

私が社会問題に関心を持ったきっかけは、小学生のときに富士山の樹海で不法投棄されたバスや車、生活雑貨を見たことに始まります。そのときから、社会で起きている課題を伝えたいと思い始めて、読売新聞子ども記者団の一員として、環境問題など70本ほど記事を書いてきました。

中学生のときに、太田光さんと中沢新一さんの共著『憲法九条を世界遺産に』(集英社新書)を読み、太田さんのスタンスに憧れて、お笑い芸人になることを決め、いまは「お笑いジャーナリスト」として活動しています。

自分は変えられません。だから、意識が高く見えないようにするのは難しい。でも、一人で全部やろうとするのではなく、みんなとやればいい。例えば、おバカキャラの芸人コンビと一緒に登壇すれば、「意識高い系」には見られません。このように、教材を作るときにも、必ず興味がない人をメンバーに入れています。

SDGsババ抜きを一緒に考えた、うちの構成作家はSDGsにまったく興味がありません(笑)。でも、こういう人がメンバーにいることが無関心な人へ伝えるためには大事なことだと思っています。

お笑いジャーナリストの役割は、ファクトをエンタメの要素を入れて伝えていくことです。闇雲にエンタメ性を強くし過ぎてもいけなくて、常にファクトとエンタメのバランスを考えています。

――たかまつさんが、SDGsの17目標の中で特に貢献したいのはどの目標でしょうか。

課題解決へ向けてあらゆるセクターをつなげる目標17(パートナーシップ)ですね。アイスバケツチャレンジなどが証明しているように、「気軽さ」と「自分が参加する意義」が分かると、人は社会貢献へのハードルがグッと下がると思っています。

今は、そこ(社会貢献)への導線が少ないので、勉強会などを通してつくっています。

ですが、自戒を込めて言いますが、世の中には「知って終わり」の勉強会が多いです。SDGsを知って、そこから自分たちは何ができるのか考えないと意味がない。

きれいごとばかり言わないように心がけていて、個人が動くことの大切さと個人で動くことの限界を知ってほしいと思いながら、楽しく伝えています。

たかまつなな  ピン芸人/お笑いジャーナリスト
1993年神奈川県横浜市生まれ。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科、東京大学大学院情報学環教育部修了。 フェリス女学院出身のお嬢様芸人として、テレビ・舞台で活動する傍ら、お笑いジャーナリストとして、お笑いを通して社会問題を発信している。 18歳選挙権を機に、若者と政治の距離を縮めるために、株式会社笑下村塾を設立。 「笑える!政治教育ショー」を開発し、全国2万人に出張授業を届ける。
他にも、動画制作・講演会・シンポジウム・ワークショップ・イベント・企業研修などを手がける。 夢は、お笑い界の池上彰になることである。

<今後のSDGs関連イベント>
4/23(月)19:30~ 「笑って学ぶSDGs」を体験しよう @新宿文化センター
5/4(金) 18:45~ 「笑って学ぶSDGs」を体験しよう @浪速区民センター
記事中に出てきた、芸人さんが大喜利しながら17個の目標を学んだり、
SDGsババ抜きを行いながらSDGsについて楽しく学ぶ講座です。
弊社HPより参加申し込みの上、ご参加ください!

<たかまつななのクラウド営業部>
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