過疎や高齢化が進む地域で若手起業家を発掘してきたプロデュ―サーがこのほど、インディーズで歌手デビューする。アーティスト名は、ナカガワナオヒロ(56)。自身が書き下ろした曲で若者たちに地方の魅力を伝える。(オルタナS編集長=池田 真隆)

アーティストのナカガワナオヒロ

ナカガワナオヒロとして歌手デビューする本名・中川直洋さんは地方創生・ソーシャルビジネスの分野でプロデュ―サーとして活躍してきた。日本武道館で国内最大規模のソーシャルビジネスをテーマにしたコンテストの総合プロデューサーを務め、2019年からは公益社団法人ジャパンチャレンジャープロジェクトを立ち上げて、地方創生に取り組む若手起業家の起業支援を行っている。

地方創生事業を100地域で展開して、10社の新規上場をサポート――。これが同団体の中長期的な目標だ。

そんな中川さんだが今年12月、アーティストとしてソロデビューを飾る。「歌で地方の魅力や生き様、諦めないことの大切さなどを若者に伝えたい」と話す。

56歳からのデビューだが、音楽家としてのキャリアは今年が1年目ではない。実は、10代後半からロックバンドを組み、地元の東海地区では知る人ぞ知るロックバンドとして人気を博した。クラブクアトロやハートランド等メジャーなライブハウスで活動してきたが、500人が入るホールでワンマンライブで満員にした実績もある。

大学卒業後は証券マンとして働いたが、音楽活動は続けた。自慢のハスキーボイスがスカウトの目に留まり、レコード会社から打診もあったが、メンバーの不幸な死があった。

証券マンとロックバンドのボーカルという二足の草鞋を履いていた中川さんは、この一件を受け、音楽活動をやめることを決意。それ以降は、転職を経て、40代からソーシャルビジネスの世界に没頭することになる。

社会起業家を発掘するために全国を周る過程で、地方のポテンシャルに気付くと同時に、起業家の、人生をビジネスにかける生き様に感化される。大手外食チェーンの役員という肩書を捨て、2019年55歳で独立し、地域起業家の発掘を軸に活動する道を選んだ。

そして、独立して1年後の今年、歌手デビューに挑む。28歳のときに一度置いたマイクを、56歳で再び手にする。

1964年は中川さんの生まれた年だ。幻の東京オリンピック、コロナ感染。世界が大きく動揺した2020年。

リリースするCDアルバムのタイトルは、「1964-2020」。1964年は中川さんの生まれた年だ。2020年は、予定していた東京オリンピック・パラリンピックが延期になり、新型コロナの感染が広がり、世界が大きく動揺した。 ソロアーティストのナカガワナオヒロは、「これまで、ほとんどの人生を仕事と家庭に費やしてきた。ビジネスパーソンの生き様を歌にして届けたい」と意気込む。