「働けば働くほど最高の瞬間がやってくる」

――就職活動はしなかった?

河津「教育学部だったので周囲は教師志望ばかりでした。大学時代、“子どもキャンプ”を何度か実施したくらい、子どもは大好き。でも、教師になって、学校という枠の中で教育に関わることには違和感がありました。だからと言って、企業で働くのも違う。働くことって、自分がどう社会に関わっていきたいかだと思います。色々な人に話を聞いたり、ワークキャンプに参加するうちに、最高だと思う瞬間は“目指す社会を一端となって作っていくこと”だと気づきました。その具体的な方法がワークキャンプ。身近な所でもできることがたくさんある。内側からの活動を通じて、九州を盛り上げたいと思ったんです。」

――毎日忙しいとプライベートも無いのでは?

河津「プライベートと仕事という区分けは考えられなかったんです。どう生きるか、に対する答えをそのまま仕事にしたいと思いました。NICEで働くことは忙しいし、プライベートは無いに等しいけれど、土日やクリスマスに働くことも含めて仕事だと思っています。出張が1ヶ月あって例え休みが無くても、これが私のやりたいことなんだから。」

――それだけ強い想いは、私が会社で働いていた時には感じたことがないなぁ。

河津「社会と自分がどう関わっていきたいか、に対する答えが私の仕事観です。例えば世界の子どもと一緒に笑い合いたいという夢に対して、アクションできる場所としてNICEを選びました。ワークキャンプは地域の課題を解決するもの。それ以上に地域と参加者の相互理解につながる。世界に思いを馳せるようになる。それが何よりの魅力です。働けば働くほど最高の瞬間がやってくるから、全然辛いとは思いません。」

河村「大学生ってなんとなく海外に興味があって、ワークキャンプに参加する人が多い。でも、日本人は狭い日本のことしか見えていないような気がするんです。海外に出たら世界は全然違うのに、皆がこうしているからこうしようという傾向は、特に学生に強い。理由は何であれ、NICEのワークキャンプに参加して、『日本は何て狭いんだろう』と考えるきっかけ作りの手助けができたらいいなとこの仕事に対して思っています。」

河津「3月に東日本大震災が起こって、これから私たちがどう生きるか考える節目でもある。そういう時期にNICEの職員として生きていることに、喜びと責任を感じています。」

――例えば、大学を卒業した友人の中にはサラリーマンや主婦になっている人もいると思うけれど、そういうのに憧れることはない?

河津「全然! 話をしていると友人には『いいねー』と言われます。仕事の話を楽しそうにするのが、羨ましく感じるみたいです。」

――確かに、サラリーマンの飲み会って仕事してます、疲れてますという雰囲気があるよね。どうして違いが生まれるんだろう?

河村「楽しそうに仕事の話をするサラリーマンはいないかもしれません。文句ばっかり!(笑) ワークキャンプを広めたい! って言ったように、仕事後の飲み会でこの商品を日本中に広めたい! って熱く目をキラキラさせて語る人は少ないはずです。」

――文句ばっかりの飲み会には身に覚えがあります。(笑)今日はお忙しいところ、ありがとうございました。


NICEには色々な立場の人が集まる。教育の立場で関わっているスタッフもいれば、環境関連の仕事をしていたスタッフ、マザーテレサから始まったスタッフもいる。カラフルなスタッフばかりだそう。
河津さんの言った「働けば働くほど最高の瞬間がやってくる」という言葉には衝撃を受けた。例え休みがなくとも、そう言い切れるほどの仕事を見つけることができるのは幸運なのかもしれない。
しかし彼女たちは、NPOで働いているから輝いて見えるのではない。夢を持ち、熱い気持ちでを真剣に取り組もうとしているからこそ、輝いているのだ。
私たち若者は、いつでもそうでありたいと心から思う。

◆日本国際ワークキャンプセンター NICE◆