日本財団はハンセン病の正しい理解を求める「THINK NOW ハンセン病」キャンペーンの一環として、日本の回復者の声を届けている。第3弾は語り部として活動する平沢保治さん(87)です。(文・日本財団=富永夏子)
◆
「人生にはロマンがなくちゃ」――平沢保治(やすじ)さんは現在87歳。14歳でハンセン病になって多摩全生園に入所しました。「いまだに生まれ故郷の家が見えるところまで行っても敷居をまたげないのです。私の夢は生まれた家に行くことと、両親の墓前で一緒に水かお茶を飲むことです」。
ささやかな希望も叶わないでいます。本当に辛い思いをしたという平沢さんですが、ハンセン病患者でも1人の人間として生きて行こうと決心してからは、語り部として年間50校でハンセン病について語り続けています。「子どもたちが人間らしく生きることを教えたいのです。21世紀を生きる子どもたちからいじめをなくす、一人でも自殺者をなくす、そのために小さな炎を燃やして行こうと思っていますよ」と話してくれました。
苦しみが人間をより強いものにする、平沢さんはおっしゃいます。
「夢と希望だけは捨てなかったですよ。ハンセン病にもロマンがあった。人生にはロマンがなくちゃ。足は地元に、目は日本に、ハートは世界に。いい言葉でしょ」。
写真は、何をしている時が楽しいですか?の質問に「ショパンを聞いている時」とにっこり微笑んだ時の平沢さんの笑顔です。
[showwhatsnew]