棚田/まつだい「農舞台」、脱皮する家/星峠、うぶすなの家/願入、かたくりの宿/結東など
大地の芸術祭の里
越後妻有は新潟県十日町市や津南町など5つのエリアからなる日本でも有数の豪雪地帯であり、信濃川が流れ、落葉広葉樹林と棚田が広がる里山地域。
と言うことは同時に過疎化が進むエリアでもある。
7月にオルタナSでも紹介した地域活性化に現代アートを活かす試みの草分け、「大地の芸術祭」が毎年夏にここで開催される。
そこで8月、芸術祭を推進するメンバーの一つ、NPOの越後妻有里山協働機構の誘いもあって、オルタナS特派員の加藤&伊藤きっこうが同地域をお邪魔して、芸術祭の展示物を見学したり、過疎の集落にいる友人知人を訪ねて、日々を過ごしている様子を聞いて来た。
わずか4日間の旅でどこまで知ることが出来るか甚だ心もとないけれど、様々な地域の魅力、景色や食べもの、泊まりはもちろん、過疎化の背景にある現実を知り、再び訪れるきっかけを作った旅の日記をお届けする。
初日その1(曇り時々雨)
東京駅で加藤と待ち合わせ、9時44分発の東北新幹線で越後湯沢を目指す。
平日の所為もあって自由席も楽にすわれ、twitterする間もなく1時間とちょっとで越後湯沢。
そこで特急はくたかに乗り換えて十日町まで20分ほどで到着。里山協働機構さんの車に同乗して先ずは「能舞台」前で展示作品「棚田」を見学する。
生憎の雨模様の中、twitterでつぶやきながらの旅日記が始まる。
駅を出発してすぐ、このエリアを横断する信濃川を渡る。
濁流となった信濃川は九段の河岸段丘があり、先日来の雨で出来た滝が民家の床下を抜いて家を宙に浮かせている浅河原の交差点を左折して、トンネルの続く国道をNPOの里山協働機構がある、まつだい雪国農耕文化村センター「農舞台」に向かった。
今年は豪雪から始まり、震災、豪雨と3つの大災害に立て続けに見舞われた越後妻有ではその復旧作業と農作業が並行して進んでいる。
会った方々が異口同音に語るのが今年の3つの災害のこと。
ただ、厳しい自然を乗り越えることは過去何度もやって来たが、人の減少をどうやって解決して行くかは全く未知数なだけに、多くの人たちを巻き込まないと実現しない、一筋縄ではとても解決しないなどの話も同時に今回の旅で何度も聞くことになった。
その辺は今後の旅日記で触れて行く。
そうこうするうち「農舞台」に近づくと前を流れる小川の向うの棚田に耕作、種播き、田植え、除草、稲刈りの伝統的な作業をしている農民を描いた作品が見えて来た。
これがイリヤ&カバコフ夫妻が「大地の芸術祭」初の作品として2000年に制作、展示した棚田/まつだい「農舞台」だ。
芸術際の意義を地元に認知してもらうきっかけになったこのシンボル的作品群こそがこの芸術祭と地元の融合をもたらし、成功に繋げたきっかけだったと同行して頂いた団体スタッフの新井さんは言う。
(「これからの「美術」」参照)
この地域のもう一つの特徴である棚田の保全は「美しい環境」や「安全な食」へと繋がり、わたしたちの生活に還元される、つまり棚田の課題は都会の生活者と繋がっているのだ。
そんな事を実感させてくれる企画に棚田保全オーナー制度「まつだい棚田バンク」や稲刈りや田植えが体験できるツアーなどが各種用意されている。来年はぜひ参加を検討してはいかが?
また「農舞台」内にある「越後まつだい里山食堂」で頂いた昼食は、伝統食を手本とした野菜中心のイタリア風なヘルシーメニューのバイキング。何度もお替わりをしてしまった。
twitterの8/23~27の生ツイットでもどうぞ。http://twitter.com/#!/kickokecko)
―この続きは「初日その2」で―