世界各地で暴動やデモが起きていて、「うわ、なんだかすごいな」なんて他人事のように思っている人も多いのではないでしょうか。暴動が起きる背景にはいろいろとありますが、各国の暴動が起きる可能性を示唆する「悲惨指数」という指標があります。

アメリカ合衆国の経済学者アーサー・オークンが考案した「悲惨指数」は、インフレ率(%)と失業率(%)の絶対値を足した数値からなる経済指標で、国民生活の困窮度を示しています。たとえば、物価や失業率の上昇とともに、この指数は上昇します。

現在、日本の悲惨指数は4.9で、先日暴動が起こったイギリスは12.4。指数が10を超えると、経済が不安定になっていると見なされ、国民の不満が高まるとされています。欧米ではイギリスをはじめ、イタリア、フランス、アメリカなど失業率だけで9%を超える国が多く、日本は、4.3%だという現状を踏まえると、いかに欧米の就労状況が悲惨かということが分かるのではないでしょうか。

しかし、この数字だけで、日本では当面暴動は起こらなそうだな、とのんきなことは言ってられません。実は失業率には、ニートと呼ばれている無職の人や家事手伝いなどの求職活動をしていない人々の数は含まれていないのです。それらの人々が一斉に「よし、仕事を探すぞ!」と意欲を持って就職活動に励み、それでも仕事が見つからなかった場合、日本の失業率は6%以上に上昇するといわれています。それに加えて、日本国内のインフレが急速に進んだ場合、悲惨指数が10になる可能性はいくらでもあるのです。

では、失業率が上がらないように、日本社会はこのままがいいのかと言うと、そうではないはず。今後、社会や倫理の観点からみなさんが考えるきっかけとなるような話題をお届けできればと思っています。これからも宜しくお願いします。(オルタナS特派員 稲元麻衣)