自給自足の街をテーマに飲み語り合うgreen drinks 松戸。
10月28日に開催されたvol.5は「自給的なcafe ~いのちあふれる野菜のちから~」
と題し、マクロビオティック料理研究家の中島デコさんをお招きし、食を自給する
嬉しさ、食と体・健康のこと、そしてcafeから広がるコミュニティについて参加者の
皆さんと話し合いました。当日の様子をレポートでお伝えいたします。


食から変える世界
まずは、今回の会場となった晴れる家cafeのオーナーである斎藤晃さんにcafeが
できるまでの経緯と、これから目指すことについてお話し頂きました。

熱弁する斎藤晃さん


晴れる家cafeは可能な限り固定種・自然栽培の食材にこだわっているベジカフェ。
野菜を自分たちで育てているほか、cafeの壁も仲間と一緒に自分たちで塗り、お店で
使われている食器も自ら手作りするなどまさしく「自給的なcafe」です。

晴れる家cafe外観。壁は土壁、外のプランターでは自然栽培で野菜を育てている


かつて居酒屋を経営していた斎藤さんは、駆け出しの頃から「食材には
こだわりたい」と強く想っていたそうです。そんな斎藤さんがさらに食に
こだわりを持ち、ベジカフェを開いたのには3つのきっかけがありました。

1つ目は、奥さんのかおりさんが、もともとマクロビオティックに関心を持っていた
こと。2つ目は、とある雑誌に掲載されていた中島デコさんの料理を見たこと。
この時夫婦で「いつか、こんな料理が出せるcafeをやりたいね!」と盛り上がった
そうです。3つ目はシードマイスターの資格を取ったこと。この時、F1と呼ばれる
次世代の種が作られない種の問題を知り、固定種の食材にこだわり始めた
そうです。

そして2人がcafeの場所として選んだのは駅からバスで10分かかる自宅。最初は
こんなに離れた場所でお店を続けることができるのか不安に思ったそうですが、
「ここできれば、どこに行ってもできるだろう」と考えて決めたそうです。

「日本の食文化、種、そして自然栽培の野菜を広めることが晴れる家のミッション」
と語る斎藤さん。私たち消費者が知識を持ち「種は何ですか?」「農薬は?」
「肥料は?」と生産者に聞くことで、「結果的に良い生産者・良い食が広まり、
世界が変わる」というメッセージを送ってくれました。

自然の中でcafeを始めたきっかけ
続いて中島デコさんにお話し頂きました。


デコさんは現在、房総半島のいすみ市という自然豊かな土地でブラウンズフィールド
という場を作り古民家を改築してつくった「ライステラスカフェ」で料理を提供して
います。ブラウンズフィールドの詳細はこちらをご覧ください ブラウンズフィールドHP

そんなデコさんも以前は東京でバリバリ働きながら子育てをする主婦。毎日遅くまで
働き、稼いだお金で食料を買い、狭い都会で子どもを守るために神経を尖らせる、
いわば窮屈な暮らしをしていました。そんな生活に疑問を持ち始めた頃、デコさん
曰く「日本人より日本が好きな外国人」というご主人のエバレット・ブラウンさんが
古き良き日本の農村のような場所を見つけてきました。それが今のブラウンズ
フィールドです。

導かれるように田舎で始まった新しい生活。
「cafeなんて大変なことをやるとは思わなかった」と笑うデコさんですが古民家を
改築したり、ツリーハウスを建てたりしながら暮らしているうちに、ブラウンズ
フィールドに多くの見学者が訪れるようになったそうです。そして「せっかく人が
来るならお料理でも出そうかな」とライステラスカフェはスタートしたのでした。

デコさんのユーモアあふれるお話しに皆さん興味深々です!


自給するって素晴らしい
デコさんを自給の道へ進ませたのは、ある時、横で買い物をしていたおばあさんが
お店の人に聞いた「この大根の種はたくあんに向くかね」という一言でした。なんて
ことない一言に聞こえますが、たくあんができるまでは種を植え、ダイコンを育て、
収穫をしてから干し、それから漬けるという物凄い手間が必要。だからこそ
「そこまで考えて質問しているおばあさんはすごいなあ。」と衝撃を受けたそう
です。

これをきっかけに自分でも畑や田んぼをやりたいと思ったデコさん。そんな矢先に、
近所の方から「田んぼが空いたから使ってくれ」という相談が来たそうです。
なんという絶妙なタイミングでしょうか。

縁にも恵まれ始めたお米作り。慣れない農作業に試行錯誤もあったそうですが、
現在では自家消費するお米の自給率も100%になったとのこと。お米を含めた
食材のすべてを自給できている日もあるそうで、「食卓に並ぶ食材の自給率が
100%だと、本っっ当に嬉しい」とデコさんは自給する喜びを伝えてくれました。

自給的なcafeのオーナーと話そう
当日は中島デコさん、斎藤晃さんの他に、green drinks 松戸の主催メンバー
であるスローコーヒーの小澤陽祐さん、オーガニックレストランCAMOOの
伊藤淳さんも会場に駆けつけ、いわば自給的なcafeの松戸オールスターが
集結しました。

ということで、後半はcafeのオーナーがリーダーとなり、4グループに分かれて、
健康、食と農、自分が住むコミュニティ、松戸というコミュニティの4つのテーマに
ついて皆さんで話しをしてもらいました。

それぞれの想いをお話しする参加者の皆さん!


全てのオーナーとお話しできるようテーマが変わるごとに席替え


cafeから広がるコミュニティを松戸にもつくろう
ブラウンズフィールドではウーファーと呼ばれる多くの農業訓練生を世界中から
受入れ一緒に暮らしています。そこには、まるで大家族ようなコミュニティが
生まれています。さらにご近所にはgreenz.jp初代編集長の鈴木菜央さんや、
ユナイテッドピープル代表の関根健次さんなど、グリーン志向の高い方々が
移住を始めて、地域がグリーンなコミュニティへと成長しています。

一方、松戸にも晴れる家cafeはじめ、スローコーヒー、オーガニックレストラン
CAMOOなど、グリーン志向の高いお店が集まり、グリーンなコミュニティに
近づいています。green drinks 松戸の目的は、松戸を自給自足の街に
すること。だからこそ、今回のgd松戸ではコミュニティについて話し合いを
しました。いすみとはまた異なる松戸らしいやり方で、このcafeから一歩ずつ
自給的なコミュニティを形成していきたい、そしてそれが出来ると感じられた
gd松戸となりました。

みなさんも、真面目に悪ふざけができるMADな街、松戸を一緒に自給自足できる
街に変えていきませんか?