若者と政治をつなぐ活動を行うNPO 法人Youth Create(ユースクリエイト)は「選挙からスタートしないこと」を第一に掲げている。2016年夏の参院選より、選挙権が18 歳に引き下げられたが、「知識不足で、選挙に行くのが不安」と考えてしまう若者は少なくない。駅の再開発など身の回りの生活や暮らしに直結する課題を投げかけることで、政治と若者の距離を近づけていく。
「政治は学ぶものではなく関わるもの」――。ユースクリエイトの原田謙介代表はそう話す。そう考える理由は、政党や政治家の考えを知らないと政治を毛嫌いしてしまうからだ。その結果、投票に行く若者が減り、若者の素直な声が政治に届かなくなる。
政策についてあまり知らない若者は多いだろう。そこで、18歳に「選挙に行こう」と盲目的に伝えるのではなく、まずは、政治は「自分の足元で動いているもの」だと教えていく。
例えば、住んでいる地域のゴミ問題や駅の再開発などを例に出し、どうしたら住みやすい街になるのかお題を投げる。若者たちは住みやすい街について考え合い、その結果、政治家が掲げるマニフェストにたどり着く。
こうして、若者にとっての政治が、遠くで動いているものではなく、「自分の足元で動いているもの」に変わるという。
原田氏は、若者の声を政治家に届ける仕組みも構築している。若者と政治家の交流の場を、リアル・インターネットの両空間でつくった。分かりやすい所から意見を求めることで、ということを
未来を生きる当事者である若者が、積極的に政治に参加すること。それは、議論を活発化させ、歪みのない政策の実現につながる。
果たして 2016 年は、「選挙権年齢が下がった年」といわれるようになるのか、それとも「若者の政治参画が始まった年」となるのだろうか。「選挙からスタートしない」と掲げた団体が、240万人の有権者を政治参画へ導いていく。
執筆者:向井里花(福岡教育大学教育学部4年)
広島出身の、カープ女子。趣味は野球観戦、日本酒、フラダンス。夢は自家製チーズ屋さんを営むこと。福岡教育大学では家庭科を専門的に学び、現在は消費者教育分野の研究室に所属。売る人も買う人も幸せになる「エシカル消費」の浸透を目指し、企業側からのアプローチや、情報提供方法について研究中。