59.9%。今年2011年の就職活動による大学卒業者の内定率である。調査を開始した1996年からの水準では過去2番目の低さである。その就職活動に問題を感じている大学生らが11月23日、新宿で就活デモを決行する。

複数の企業が集まった合同説明会の様子。内定を得るために多くの学生が参加する

















主催は都内大学生を中心に結成された「就活ぶっこわせ委員会」。当日はこの団体が呼びかけた現在の就職活動に問題を感じている学生約100人が集まる。14時に新宿アルタ前を出発して新宿駅近辺を1時間半かけて一周する予定である。

集う学生が感じている就職活動に対する問題は様々だが、中でも多くの学生が感じている共通問題がある。それは新卒者を対象に採用活動を行い、大学を卒業してすぐに働かせる新卒一括採用方式についてである。

新卒一括採用方式が原因で就職活動開始時期に出遅れまいと、留学を希望する学生が減少している。企業が求めている「グローバル人材」を志している学生の可能性を狭めているのは、企業そのものであるという皮肉な事態である。

また、日本国内では既卒者に対する風当たりの強さもあって、新卒でなんとか就職を決めたいという思いをさらに高めている。文部科学省が発表した学校基本調査速報によると2011年の大学卒業者数の2割にあたる約10万人が卒業後、進学も就職も決まっていないことが明らかになった。2010年の大卒者も同様に約10万人が卒業後の進路が決まっていなかった。

こうした事態を受けて、文科省や厚生労働省は2011年7月に「卒業後3年以内の既卒者への新卒枠での応募受付」や2012年度卒の採用枠拡大を約260の企業に要請したと発表した。しかし、現実は厳しく既卒者のその後の進路は文科省も追跡しておらず不明である。

就活ぶっこわせ委員会委員長の小沼克之さん(早稲田大学)は「現在の就職活動には疑問を感じている。留学や司法試験を目指してしまうと就職活動に出遅れるというのは公平ではない。社会全体でもう一度この国の就職活動を考えていきたい」と語る。世界的な視点で見た時、新卒一括採用は日本独特の方式である。諸外国では、学生に社会経験を積ませるため卒業後の1年間を海外留学やボランティア期間として設けている国もある。もう一度就職活動のあり方を再考する為に勤労感謝の日、学生たちが動き出す。(オルタナS 池田真隆)


就活ぶっこわせ委員会