2010年、先進国における子どもの幸せ調査で1位に輝いたオランダ。その秘密は「個性を伸ばす教育」と、「ワークシェアリングによって生活の安定と安心を保証している」事にある。

オランダでは、5歳からが義務教育だが、多くの子どもはプリスクールとして4歳から学校に通う。私学も公立も無料。いわゆる入試試験は人生に1回だけ。小学校の最終学年(8年生)の時、全国共通学力試験(CITOテスト)を受け、大学進学、普通、職業専門課の3つの中等教育機関へ振り分けられる。

オランダ大使館によると、「子ども自身で好きな教科を好きな時間選ぶという小学校も珍しくない」という。日本とは逆で、入試よりも卒業の方が難しい制度だ。個人の個性を徹底的に伸ばす方針により、子ども達は勉強にストレスを感じず、夢中になって取り組む環境が整っている。その結果、学力も先進国10位以内に入っている。

またオランダでは、近年日本でもよく耳にするようになったワークシェアリングがとても浸透している。フルタイムとパートタイム従業員の、賃金および社会保障の格差が無いのだ。親は仕事と家庭のバランスを考えながら、安心して働き方を選べる。一人あたりの労働時間が先進国の中で最も少なく、男性の育児休業取得率はEU内で2番目(2009年16%)。

オランダ政府が力を注いできた、仕事と家庭を両立できる「親への環境作り」こそ、子どもの幸福度向上につながった要因のようだ。(オルタナS特派員=中川真弓)