避難中の福島の奥さんと、福島以外の復興地を訪れるツアーが企画されている。主催は、東日本大震災支援団体ラブギャザリング。石巻や女川を訪問し、復興に向けて立ち上がった漁師の奥さんたちと交流し、元気になってもらい、精神的な意味で復興への手助けをする。

水揚げ後、浜でのお母さん達の作業


きっかけは福島に住む女性の、「私たちは被災地といっても福島しか知らない。日
本で どんなことが起こったのか、他の被災地を知りたい」という一言。

訪問先の東北の方たちも福島の方を迎え入れる。ラブギャザリングの理事である山田由美子さんは、「石巻の漁師さんたちは、自分たちも家や船、漁具、漁場が流されて大変だが『一番大変なのは福島の人たちだ』と言っていた。過去に実施した、福島からの避難者のためのチャリティイベントでも、ワカメやホタテを無料で提供して頂き、追悼イベントに福島の方をスピーカーとして呼ぶ件も快く了承してくれた。今回のツアーについても、ツアーの時期がいつであっても『いつでも笑顔でお迎えできるよう頑張ります』と言ってくれた」と話す。

今回のツアーは、被災した人をつなげることに意義があるという。「東北では女性は後方に回りがちだが、自分たちで手作業を生み出し、漁業復興の陰には奥さんたちの存在がとても大きい。そうした女性たちがつながり、互いを刺激し合うことが、真の復興に向けたパワーになると思っている」と山田さんは話す。

現時点で原発事故から避難生活を送る福島の方は、東京だけで約7500人にのぼる。住み慣れた故郷を離れて暮らすことを余儀なくされている。そのような孤独な状況だからこそ、ともに分かち合うことが支援になると、このツアーは企画された。

避難している方は経済的に困っている方が多いという。そこで、彼女たちのツアー費を募集するプロジェクトが、クラウドファンディングサイト「READYFOR?(レディーフォー)」で展開中である。

「東北で被災した女性とつながることで、復興に向けた新たなエネルギーが生まれると思っている」と山田さんは期待を寄せる。(オルタナS副編集長=池田真隆)


READYFOR?で企画しているプロジェクト