世界的に経済が不安定な中でも勢いが衰えない東南アジア諸国。特にチャイナ+1として近年注目を集めるベトナムで、日本人に特化した人材紹介サービスが話題を呼んでいる。納期を守る、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)を徹底させるなど「日本式」の働き方を指導する人材の採用ニーズが高まっている。

ベトナムでは、大手メーカーが製造工場を置く事はもちろん、デザインやプログラミングなどIT業務の一部を労働力の安いアジアに任せる日系企業も増加している。

HR-Link.Vietnam.Co.,Ltd (ベトナム・ハノイ)は2011年6月の設立からすでに4人のマッチングを成功させた。同社のユニークな点は、ベトナムでの求人に合う人材を日本国内で探す事だ。現地の商社や通信、食品加工業は営業職を、運送業や製造メーカーは現場統括職へのニーズが高い。

求職者と企業が気持ちよく就業できる様に、現地を見た担当者がスカウトから面接、採用条件の交渉など一切を行う。さらに内定が出た後も住居や病院の紹介など生活面も一通りサポートしてくれる。

竹之内雅也代表は「ベトナムで働く上で重要な事は、ベトナムの生活に馴染めるかどうか、これに尽きます」と語る。

2010年に内閣府が行った世論調査(全国の有権者男女3000人)によると、外国就労に関心のある割合は全体で22%。20代に限ると20%だった。若い世代の外国就労経験については73.8%が「するべき」と答えており、関心の高さが見て取れる。

一方、外国就労で心配な点は、治安70.5%、語学力63.2%となっている。

外国就労を躊躇する原因の語学力。共通言語はもちろん英語だが、日本と同様に英語を母国語としない東南アジアの人々とは、お互い歩み寄る場面が多いという。完璧な文章を話す事よりも、単語を繋げて自分の意思を伝える方が重要だ。募集案件もTOEIC500点以上
で十分通用するものが大半だという。

英語能力以上に納期を守る、業務を改善する、ホウレンソウなど、日本人が当り前とする働き方が求められている。(オルタナS特派員=中川真弓)