『週刊少年サンデー』(小学館)のシリーズ連載『ちいさいひと 青葉児童相談所物語』(夾竹桃ジン・作/水野光博・シナリオ/小宮純一・取材 企画協力)の単行本第1巻が、2011年11月から「ソク読み」で試し読みできるようになった。児童虐待をリアルに描いた意欲作で話題を集めている。

(C)夾竹桃ジン・水野光博/小学館「週刊少年サンデー」シリーズ連載中

主人公は児童相談所の新米スタッフ。彼が直面する幼児は、親の育児放棄によってゴミ山のような部屋に置かれ、手足がか細く、痛々しい。少年誌としては異例の社会派であり、東日本大震災の際に宮城県の児相が果たした役割を描いた「震災特別編」も描かれた。

担当編集者の袖崎友和氏によると、「児相の職員や被虐待児だった方から体験談を聞き、養護施設に行くなど、取材を重ねてきました」と言う。

「編集部への手紙やメールでは、高校生・大学生からは『驚かされた』、若い親御さんからは『考えさせられる』というご意見をいただきました。このマンガで一人でも多くの方に虐待に関心を持ってほしいですし、これから親になる子たちにも知ってほしい」

児相の虐待対応件数は2010年度で5万5154件。毎年増え続けており、総務省は虐待の予防や早期発見の取り組みが不十分として、20日に厚生労働省と文部科学省に改善を勧告した。虐待の切実さが可視化できれば、本腰を入れて解決に取り組む人材も増えるだろう。マンガの底力に期待したい。(今一生)


ソクヨミ
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