日本全国には3700もの自然学校があるという。
その一つ、熊本にある「野外教育研究所IOE」は今から25年前に設立された老舗の自然学校だ。
一昔前までは、自然の中で遊ぶことは当たり前の日常で、あえてやる必要もなかった自然学校。しかし、こどもたちの生活が塾通いなどで忙しくなり、自然の中で遊ぶことが減ってきていることを感じた現所長・山口さんは、事業所を立ち上げることを決めた。
以来、九州を中心に、山や川や森での自然体験型の環境教育プログラムを実施。
今では、IOEの主催事業だけでも、年間1500〜2000人ものこどもたちが参加している。
目指すのは2つの”Eco(エコロジーとエコノミー)”が両立する「環境地域」づくり。つまり、自然と共生し、なおかつ人が働いて生活を営める、2つの意味で持続可能なまちだ。
「自然が多いところって田舎でしょ。少子高齢化が進む過疎地域も多いわけです。その地域を活性化するコミュニティビジネスとして、自然学校がある。」山口さんの弁だ。
「環境保全」という公共性の高いミッションを掲げ、なおかつビジネスとして事業を立ちゆかせていくことで、地域が活性化する。なるほど、たしかに、これぞ社会的企業である。
IOEは、これまでの取り組みが評価され、2011年のエシカルアワードで優秀賞を受賞。3.11後の昨今の情勢も相まって、これからの動きにさらに注目が集まっていくだろう。(オルタナS特派員武田緑)