2011年に港区の区議会議員に初当選した横尾俊成氏。広告大手の博報堂で培ったコミュニケーション術を活かして、街の人の声を集めて政策の要素に取り入れる。若者と大人の世代間格差が叫ばれている現代社会、その壁を突破する手がかりとなる、若者と大人の交流をいかにして生み出しているのかを聞いた。(聞き手オルタナS特派員=池田真隆)

横尾俊成さん


——横尾さんの事務所には毎日学生を中心としたボランティアスタッフが集まり、夜遅くまで働いていますが、彼らを巻き込むために工夫したアプローチ方法はありますか。

横尾:若者の政治に対するハードルを下げる点に工夫しました。初めから「社会貢献しようぜ!」などと言っても、今の若者には響きません。けれど、「一緒にもっといい街を作ってみない?」など楽しく、かっこよく感じるようにアプローチすれば、政治の事はよく分からないけど、「何か企画することが好き」「学生時代に面白いことをしてみたい」と思う学生に響かせることが出来ます。

要するに一歩踏み出すまでのハードルを下げることが大切なのだと思います。最初の一歩は勇気が入るけど、社会での居場所や貢献の仕方を身につけた若者は勝手にどんどん動き出します。

例えば、私が副代表を務めるNPO法人グリーンバードの活動では朝一番で街のお掃除をする活動があるのですが、今では若者たちを誘うときに「朝合コンしない?」と言って誘ったりしています。

このように最初の入り口をいかに楽しく見せるかは若者を巻き込むことの重要な要素となってきます。

赤坂の街を掃除するグリーンバード赤坂チーム(写真中央下)




















——実際にボランティアスタッフとして政治活動に参加している若者たちはどのようなことをしているのでしょうか。

横尾:学生ならではの視点から実際に私が抱えている案件を考えてもらっています。良いアイディアが出れば議会の原稿に入れたり、役所の打ち合わせなどに同席してもらいます。

私はアイディアで政治をしていくべきだと思っています。なので、政治家の下でインターンをしたいという若者よりも、世の中をこうしたいという想いを持った学生をよく受け入れています。

だから、企画好きな学生から適度に狭めた範囲内で質問を投げかけて、自由にアイディアを引き出せるような環境作りには気を使っています。

■学生のちょっとしたアイディアがクリーンヒットすることもある

——実際に学生のアイディアが政策に移されたことはあるのでしょうか。

横尾:あります。例えば、私の政策集に「港区をよくする20のアイディア」というものがあるのですが、この中の街の課題を街の人たちみんなで考え合う「みなと学舎」は学生などのボランティアスタッフのアイディアから出来ています。

また、現在動いているアイディアとして、被災地支援活動に取り組んでいる明治大学に通う吉田勇佑くんの「若者と街のおじさん・おばさんをつなぐコミュニティカフェ」があります。

これは吉田くん自身が被災地に行って体感したことから生まれました。彼は被災地の大人たちと接することによって感じたものが、都会では感じられないと言っています。

そこで、都会でも若者と大人たちの交流の場所を設けようとコミュニティカフェを作ろうとしています。実際世の中には若者と話してみたいおじさんたちは結構いるものです。

そうやって若者と大人が繋がれる場所を用意してあげることで、若者たちの力で日本社会全体を盛り上げていきます。

横尾さんの事務所でアイディアを出し合う学生たち


横尾さんがこれからの社会を担う若者に期待することとは、渾身のメッセージは後半に