高橋孝郎さんはGNH(国民総幸福)を提唱したブータン王国で、首相フェローとして働いている。ブータン王国の首相フェローでは歴代二人目である(1人目は御手洗瑞子さん)。
首相フェローとは、ブータンの発展に貢献する若手外国人をブータン政府の役人として1年間招聘するプログラムである。ブータンで専門性の高い人材が不足していて、政策遂行の多方面で外部からの知見が必要とされていることから生まれた。
高橋さんは、以前大手経営コンサルティング会社に勤め中東や欧州で金融セクター関係の仕事をしていた。退職後、アメリカのジョージタウン大学で開発修士号を取得。
卒業後は、キャリアを活かしてブータンの中央銀行で貧困層向けの金融サービスの拡大に取り組んでいる。月収はブータンの国家公務員の若手と同額の2万円。しかし、住居は提供してもらっていて、物価は低いので食べるものには困らないという。
高橋さんはこの給与額について、自費留学で貯金を使い果たした後の仕事として適切かどうか悩んだという。しかし、「途上国政府の中に入って、首相や大臣レベルの人達とともに国づくりに貢献できる機会は、途上国開発を学んだ身としては夢のような仕事。長い人生では、このチャンスを掴まない方が後悔すると思いました」と語る。
ブータンでは何事も思うようにいかずにストレスもあるという。しかし「郷に入っては郷に従えなので、ブータン人のゆったりとしたペースを尊重しつつ、必要なことはきちんと押し進めていきたい」と日々の任務に励む。
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