家具メーカーのa.flat(エーフラット、東京・目黒)が、タイでソファ作りを始めてから10年が過ぎた。編み手職人2~3名から始めた専用工場は、現在では100人以上が従事する。バンコク市内から2時間程の場所にあるスパンブリ村で、家具を手間暇かけて作る。職人は都市部へ出稼ぎに行く必要がないため、離職率が低くソファの品質は安定している。

家具作りをする様子
















エーフラットのソファのフレームやチェアは、繁殖力が強すぎて水質汚濁の原因となっていたウォーターヒヤシンスと、増えすぎて木を枯らす原因となっていた蔓科の植物ラタンを編んで作られる。これらのいわゆる害草として認知されていた植物を、資源として活用している。もちろん染色についても、環境に配慮されたものを使っている。

さらにa.flat“beauty thing follows beauty mind”projectとして、カレン族の生活支援のため民族に伝わる「織り」や「バスケットづくり」、人間国宝プラニーさんの工房やタイ南部の熟練技であるリパオの制作支援など、様々な産業支援が現地の現金収入とつながっている。森林再生と山岳民族の救済が目的のタイ王室のプロジェクトにも携わっている。

ゆったりと時が流れているような、アジアの雰囲気を前面に出した完成度の高いオリジナル家具のデザインと伝統的な雑貨のセレクトには、センスの良さを感じる。

代表取締役社長の磯崎良さんが、学生時代アメリカに留学した時のルームメイトがタイ人だったことが縁でタイとの絆が生まれた。元々技術力があるタイの人々に指導者がいることで、現地の産業は成り立っていった。現地に見合った製造方法が、産業を継続させている。

森林の違法伐採が社会問題となっているラオス。新作のテン・ハイバックソファはラオス原産の木材でフレームを作っている。そのソファが購入されるごとに、NPOグリーンフォーラムを通じ、ヒノキを1本植樹するサポートを行っている。ベトナムでも地域社会への貢献を進めていく予定だ。アジアへ向けたエーフラットのエシカルな取り組みに今後も注目したい。(オルタナS特派員=奥田景子)



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