NPOで働くことになったのは、自分にとってごく自然なことだった。大学生活を過ごした米国では、友人の多くがNPOでインターンをし、その後NPOで就職をしていた。

私は卒業後どうしても引っかかり、取り組みたかった人身取引をなくすためにNPOにインターンとして参加した。その後、日本で同様の活動をするために決意したときは、まさかこんなに大変なこととは思わなかった。

米国の市民社会や寄付文化は日本よりも成熟していて(成熟しなければ行けない理由もあるが)、NPOが社会問題を解決し社会の大きな役割を担っている。

私は大学時代のさまざまなボランティアやインターンの経験はあるが社会人経験がほぼなく、日本でのNPO活動の開始は大変だった。周りの人々に学びながらの出発だった。

が、活動を始めてすぐに始めた相談活動を通して、実際に人身取引に遭った女性や子どもたちの救済と支援が始まった。女性として日本人として、こんな暴力をなくしたい、という日々の怒りがパワーとなり、切り抜けられた苦労だった。

何よりもかけがえのないものは、出会えたボランティア、インターンやスタッフの皆だ。何百人という人々に出会いミッションをともにして8年間活動してきた。私に足りなかった社会人経験(広報、企画力、マネジメント力などをつける機会など・・)は、団体に関わる様々な人々によって補われ向上している。

NPOの活動は、様々なセクターの共感と理解を得て広がるが、不安定で崩れそうだった私たちの活動はすばらしい外からの仲間にいつも助けられ続いてきた。本当に感謝しても仕切れない。この業界に入って特に失ったものはない。それどころか得るものだらけだった。(寄稿・ポラリスプロジェクトジャパン 藤原志帆子代表)


ポラリスプロジェクトジャパン

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