アメリカン・エキスプレス(ニューヨーク)とワールドモニュメント財団(WMF)は存続が危ぶまれ保存・修復が求められる世界各地の文化遺産6カ所に計100万米ドルを拠出すると、5月14日に発表した。

写真提供:NPO法人小野川と佐原の町並みを考える会


日本からは、東日本大震災で損壊した千葉県香取市佐原地区が選ばれ、同地区の町屋の修復・保存活動に20万米ドルが助成金として付与される。

佐原は千葉県の北東端に位置しており、江戸時代以来の町家が300棟以上残る歴史的な町並みで知られていた。昨年の東日本大震災の被害で歴史的な建造物のうち3分の1以上が損壊した。

今回の助成金は「特定非営利活動法人小野川と佐原の町並みを考える会」を通じて、県指定文化財7件及び付随建造物2件の修復・保存活動に充てられる。

世界各地の文化遺産の保存活動は、アメックスが設立スポンサーとなりWMFが1996年より展開している「ワールド・モニュメント・ウォッチ」プログラムの一環である。

「ワールド・モニュメント・ウォッチ」が東日本大震災被災文化財として登録した地区の中で、被災文化財支援として動いたのは佐原地区が初である。佐原地区以外では、バラガット(バラナシ・インド)、カンタベリー州庁舎(クライストチャーチ・ニュージーランド)、サルバトーレ・ダ・バイーア(ブラジル)らが支援対象として選ばれた。

アメリカン・エキスプレス・インターナショナル(日本)のロバート・サイデル社長は「創業初期から旅行業に取り組むアメリカン・エキスプレスは、歴史的遺産の保存活動に長年取り組んできた。震災で損壊した佐原の歴史的な町屋の修復を支援し、地域振興に役立てればと願っている」と話した。(オルタナS副編集長=池田真隆)